スピリチュアリズム・ブログ

東京スピリチュアリズム・ラボラトリー会員によるブログ

「除霊」問題の難しさ (3)

2011-10-12 02:03:32 | 高森光季>スピリチュアリズム霊学

 スピリチュアリズムの霊信が教える「憑霊・霊障」とはおおまかに捉えると次のような構図になると思います。(詳細は、カルデック『霊の書』第2部8章、モーゼズ『霊訓』第3節、第29節などを参照してください。)

 ・死後も低級・悪辣な欲望に囚われ続け、その仲間を探して地上をさまよっている霊もいる。
 ・自殺や非常に不幸な死を遂げたため、通常のルートで霊界へ行けず、迷っている霊もいる。
 ・それほど邪悪な性質ではないが、いたずら好きの霊もいる。
 ・人類の霊的啓発を妨害しようとしている霊もいる。(かなり高級・強力な“邪霊”?)

 ・人間が低級・悪辣な欲望に身を委ねると、邪悪な霊の影響を受ける。
 ・霊媒体質(エーテルを多量に保持している)の人は、迷っている霊を呼び寄せてしまうことがある。

 ・邪霊の影響を排除するには、自らを霊的に高め、邪悪な欲望に囚われないようにすることである。
 ・邪霊の影響を排除するには、守護霊との結びつきを確かにすることが有効である(一般人には難しい?)
 ・邪悪な影響を受けたとしても、自らを高めようとすれば、それを除去することができる。
 ・悪魔祓いの儀式・儀礼は意味がない。

 基本的にはそうなのだと思いますが、これはあくまで一般論で、現実にはどうもそれだけでは割り切れないところがあるようにも思えます。
 たとえば、当人自身はごく普通の性格を持ち、普通の生活をしているのに、何らかの理由――前世のカルマ、血縁(先祖)、地縁、さらにはよくわからないもの――で、霊障らしきものを受けてしまうことも、まったくないとは言えません。前世のカルマなどは普通誰にもわからないものですから、「原因不明」とほとんど同義です。
 「先祖の中に未浄化霊がいて、幸福な子孫を妬んで霊障を起こしている」といったことも、一般的なスピリチュアリズム理解では「そんなことはない」と言いたくなるものですが、まったくないとは言い切れない。自分の子孫を不幸にして喜ぶ霊などというのは言語道断ですが、霊には言語道断な者はいないとは言えないわけで、困るところです。
 実に厄介で、人間にはわかるはずもないし、うまくコントロールできるものでもない。
 そういったことはごく特殊ケースで、一般の人は考える必要はありません、ということなのかもしれませんが、特殊なケースに遭遇してしまったら、実に困ることになります。
 こういう場合にはやはり霊能者に頼るしかないのでしょうが、信頼できる人がどのくらいいるのかも、またまた厄介なところです。

 スピリチュアリズムの中でも、「除霊」を行なう人はいました。
 カール・ウィックランド著『迷える霊(スピリット)との対話―スピリチュアル・カウンセリングによる精神病治療の30年』(近藤千雄訳、ハート出版)は、ウィックランド博士(1861-1945)が、妻アンナを霊媒とし、治療霊団「マーシー・バンド」の指導のもと、多くの「憑霊」患者を治療した記録です。分厚い本ですが、非常に興味深いものです。
 また、ブラジルのスピリティストたちも、霊媒を介した除霊をさかんに行なっています。
 そこでの基本的「除霊術」は、「説得」です。憑依している霊を霊媒に移し、そこで霊の言い分を聞き、正しい道へ向かうよう、諄々と説得するわけです。
 私が以前ビデオで見たブラジルの事例(具体的な名前が思い出せません)では、統合失調症とおぼしきクライアントに憑いている霊を霊媒に憑依させ、いろいろと対話をしていました。統合失調症の場合、説得に非常に時間がかかると言われていました。

 結局、通常の“未浄化霊”は、きちんとした「霊のたどるべき道」を知らず、地上時代の欲望を手放すことも知らないわけですから、丁寧に説得して、「たどるべき道」が理解できれば、憑依は解けることになります。
 それでも、悪意や復讐心に囚われた霊、頑固で人の言うことを聞かないような霊には、「高級霊」の強引な介入が必要になります。ウィックランド博士の場合は、マーシー・バンドという霊団がついていて、博士には手に負えない霊は、半ば強引に霊団が連れ去り、「向こう」で再教育ということになったようです。
 つまり、あまり根の深くない憑霊・霊障なら、しかるべき通信手段を整え、説得をしていけば、解くことができる。けれども、重篤なケースでは、背後にいる高級霊の力に頼らなければならない場合がある、ということのようです。優秀な霊能治療者が必要とされるゆえんです。

 スピリチュアリズムの霊信は、悪霊祓いの儀礼や、お札お守りといった物理的な手段を否定しています。ただ、これも一概には言えないところがあるように思います。たとえば、現代ギリシャの霊能者聖人ダスカロスは、いろいろな場面で儀礼やシンボリック・マークなどを使用して、霊障解除などを行なっていました。昔から今まで、実践的な宗教者は、呪文や呪物を駆使して「お祓い」をしてきたわけで、それらをすべて否定することができるかどうか、私自身にはにわかに答えは出せません。
 (この項、つづく)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿