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物理的心霊現象について

2012-03-18 19:48:40 | 高森光季>スピリチュアリズム霊学

 エクトプラズムの写真をアップしたので、物理的心霊現象について、少し基本的なことをまとめておきます。
 (物理的心霊現象の種々相については、田中千代松編『新・心霊科学事典』潮文社に写真とともに詳しく書かれています。日本語で読める客観的かつ精緻な記録としては、ハリー・エドワーズ著『ジャック・ウェバーの霊現象』[近藤千雄訳、国書刊行会、絶版]があり、豊富な写真がついています。哲学的考察としては梅原伸太郎「物理的心霊現象と認識論」(前記書の解説) が詳しいです。また当ブログの過去記事としては【霊学概論】(8)物理的心霊現象をご参照ください。)

 物理的心霊現象の中でもきわめて起こりにくく、衝撃的なのは「アポーツ」とされるものでしょう。突然、どこかから物体がやってきて出現するというものです。一つ事例を。

 《アグネス・ニコル嬢(のちのガッピー夫人、?-1917)のアポーツ能力はとてつもないものだったようで、ウォーレスの友人がひまわりを求めた時には、高さ約一八〇センチの、根に土のついたものがどっかりとテーブルの上に落ちた。後の話だが、ナポリのマルゲリーテ王女がとげのあるサボテンを求めた際には、二十個以上が出現して後片付けに苦労したというし、アルピーノ公爵夫人が海の砂を望んだ時には、海水やヒトデごと一緒にテーブルにぶちまけられたという[Fodor, 1933, p,155]。》

 物理的心霊現象というのは、「霊的存在が介入しているとおぼしき超常現象のうち、物理的な発現が際立っている現象」を指します。対語は「心理的心霊現象」「主観的心霊現象」などがありますが、私は「情報的」とするのがいいのではないかと思います。
 あり得ない形で、物が出現したり、音や芳香が発生したり、人や物が浮いたり、霊の姿が形作られたり、といった物理的な現象が起こるわけです。これに対して「情報的心霊現象」では、自動記述や入神談話(霊媒に霊が憑依して話す)などで霊の語りや霊界の情報がもたらされます。
 (なお、近似の概念として「サイ[psi]」というものがあります。一般的には「超常現象」「心霊現象」と同義で用いられますが、超心理学では、霊的なニュアンスはすべて排除し、「現在発見されている物理的法則では説明できない、人間の心の力によって起こされる現象」全般を指すものとされています。つまりESP[超感覚的知覚:現行の物理的手段によらない知覚]とPK[念力]のすべての現象の総称です。)

 で、まあ、こういうことだろうと言われていることを簡単に列挙してみます。


 ・透視や予知のようなESPや、ミクロPK(電子などごく微細なものに対する念力)などとは異なり、霊的存在の介入がかなり大きな位置を占めるらしい。

 ・「超能力者」が起こしていると主張される物理現象も、霊的存在の介入が推察されるものが多い。(霊ということを言うと一般からの忌避が起こるのでそれを避けるため。)

 ・大がかりな現象は、複数の霊(霊団)が協働作業で起こすと言われている。またその際には、霊媒を含め、その場にいる人たちの援助(エーテル質の供与など)が必要とされる。

 ・物理的心霊現象は霊にとっても一種の「特殊技能」であり、「地上により近い霊」の方が得意だとされる。

 ・物理的心霊現象が得意な「地上により近い霊」の中には、いたずら好きや悪意を持っている霊がいないわけではない。従って物理的心霊現象自体がすべて「偉大な現象」だというわけではない

 ・物理的心霊現象の一部は、「エクトプラズム」に依って起こされる。「霊の体の物質化現象」「空中からの声」「物体浮揚」などがそれに当たる。エクトプラズムは、「人間の霊的心体を構成する半物質(エーテル質)」を「振動数を下げて物質により近づけたもの」とされる。この際、その構造は、手近にあるもの(布、生体、粘液など)を模倣することがある(布目上のエクトプラズムが観察された事例がある)。

 ・エーテル質は誰もが持っているが、霊媒はこれを身体からはみ出すほど多量に持っており、霊はこれを利用して様々な現象を起こす。(エーテル質の大量使用は時に霊媒の身体にとって危険なこともある。)
 (ポルターガイスト現象が起こる場合には、その中心に、霊媒体質の人間[特に思春期の]がいることが多い。心霊写真なども同じ。なお、「幽霊」現象の中には、その場に残った「思念」に、霊媒体質の人のエーテル質が働きかけ、幽霊のように見えるということがあり、それは「霊の出現」ではないとされています。)

 ・参加者たちのエーテル質も利用される。強烈な否定心を持っている参加者はこの提供を拒否するために、霊的現象が起こりにくくなる。(その人の否定の念も強力な妨害作用をする。)ありていに言えば「信じない者が多いと起こらない」。
 (なお、その場の熱エネルギーや参加者の体熱も利用されるかもしれない。霊的現象が起こる際に室温が下がったり、寒気を感じるという「伝説」がある。)

 ・エクトプラズムが関与しないように思われる現象もある。アポーツ(物体の消滅や出現)は、霊によって「物質の振動数を変え、時空が問題にならない霊界を移動させる」ことによって起こると言われている。ただし、詳しくは不明。

 ・物理的心霊現象は、大きな衝撃と説得力があるが、論理的に霊の実在証明にはならない。霊媒の「心」がそれを起こしているという可能性が棄却できないため。(実際、透視やミクロPKは霊の関与がなく起こるらしいので、それを敷衍していくとそうなる。)

 ・仮にその物理的心霊現象を霊が起こしているとしても、それはただちに霊の「正しさ」や「偉大さ」を証明することにはならない。つまり、現象が起こっているからといって、その霊が言っていることが正しいとは言えない。(非常に重要なこと。)

 ・物理的心霊現象を見た人がすべて「信じるようになる」というわけではない。中には無視(しっかり意識しなかったり意に介さなかったり)する人もいるし、記憶を消去してしまう人もいる。(「超常現象に対する心理的抵抗」が働く。)

 ・物理的心霊現象はなぜか限定されている。しばしば起こせる現象ではないし、その範囲も無限ではない。霊がそういった現象を起こせるのなら何でもできるだろう、いつでも人の求めに応じてできるだろうと思うことは間違いである。

 ・物理的心霊現象が起こる仕組みに関しては、ほとんど明かされていない。エーテル質(エクトプラズム)や物質の振動数といった示唆も、現行の科学的方法によっては観察されていない。


 こういうことを知っていれば、誰かが「空中浮揚」をしたからといって神の如くに崇めるような愚行は避けられると思います。霊視とか予知とかもそうですが、びっくりするような現象が起こったとしても、簡単に「信用」「崇拝」するのは危険なことです。
 とはいえ、きちんとした霊能力者が、限定的でもいいから物理的心霊現象を起こしてくれるのなら、それは非常にありがたいことだなあと思いますけれども。


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