adoの「阿修羅ちゃん」で主人公「阿修羅王」の事を思い出した訳ですが、偶然に古本屋さんで入手しました。
背表紙は日焼けして読めませんので、もう棚置きでは売れないですね。しかし、状態はかなり良いです。奥付を見てみます。第一巻は七版、第二巻は初版でした。共に昭和五十三年で、一冊350円の時代です。表紙はご覧の通りで、やはり阿修羅王の首飾りと裸足に目が行きます。正義を司る神らしい雰囲気です。
第一巻は序章とそれに続く第一章から第八章で構成されています。第一章が全体の1/4以上を占めており、重要なシーンが続きそうな予感がします。
序章はほぼ完全に覚えていました。フリガナが振ってあるので、私でも読めたんですね。曖昧ですが、繰り返し読んだのは中学時代だったはずで、それなりにフリガナに助けられたような気がします。今読み返しても、フリガナが邪魔だとは思わないです。
第一章、こうして読み返すと、グラディウスが良い味を出しています。美形だし、振り回されるし、コメディっぽくて、萩尾望都氏らしい造形だったと感じました。オリオナエの息子ハルトも鋭いですね。こんな風に、ちょいちょい良いキャラが出てくるんでしたっけ。ポセイドン登場シーンの頭と槍の最上部の演出も、こんなことまでしてたのかと気づかされました。48~49ページは強烈な印象を私に植え付け、私の宗教観(無宗教観と言えるかもしれません)の基盤になったようです。この部分は見た瞬間に記憶が蘇りました。そして今更ですが、古本独特の香りに懐かしさを覚えます。54~55ページは正直、忘れていましたが、じんわりと思い出してきました。SFとは何か、という事を考えさせられます。豊かな想像力に基づく衝撃、と言ったところでしょうか。59ページの、王宮の船着き場の下りですが、このやり取りは鮮明に覚えていました。大変な緊張感を持たせる台詞の連続するシーンで、漫画の技巧の高さに舌を巻きます。とりあえずユメは最高に綺麗だと言っておきましょう。長い旅が始まります。いや、これが本当に長いんですよ。もうとんでもない物語の幕開けなのです。
第二章、