【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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アパート経営における修繕費用(想定外の支出と税務問題)

2017-10-11 12:30:00 | 相続・贈与、資産運用、節税
数年前までは、アパート経営(個人)に関しての相談の中心は、不動産所得の赤字と他の所得との損益通算、交際費が必要経費になるかといった「楽しい!節税対策」がほとんどでしたが、最近は「経営」に深くかかわる税務問題が中心となってきました。

その典型が修繕費用です。「資産計上か?」、「支出時の必要経費になるか?」といった単純な相談ではなく、「修繕の必要性」、「修繕の方法と選択」、「修繕費用の調達方法」、「修繕に関する税務処理が資金繰りに与える影響」までと、一般事業会社や個人事業者と同じような経営と税に関する相談をしてくる人が増えてきました。アパート経営では一度に多額の資金が動くことがあります。それは、相談者にとっては人生を左右するような出来事であることから真剣そのもので、相談に対する回答は慎重にしなければなりません。

管理会社についての相談も多いです。管理手数料の水準、管理業務の範囲、入居者の募集方法になどついて、「管理会社との対立」が目立ちます。

賃貸物件の取得時に組んだローンの借換えについての相談も多いです。この問題は「違約金(繰上返済手数料)」の税務処理があります。しかし、それ以上に金融機関との交渉が大変です。確定申告書は当然として、家賃収入の内訳(物件別、賃借人別など)など、詳細で正確な数値が必要となります。

ローンの返済がアパート経営の資金繰りを圧迫することは多いです。上記の借換えで資金繰りに改善が見込まないのであれば、親族から資金を借りて繰上げ返済をしなければならない場合もあります。そうなれば贈与税の問題が生じます。

最終的には、売却による「集約」、「買換え」、「撤退」という選択肢があります。いうまでもなく譲渡所得の問題が生じます。

最近、賃貸アパートの供給過剰がいわれるようになってきましたが、物件が古くても、物件の所在が不便な所でも、「満室」というケースも多数あります。小売店や飲食店で優勝劣敗が鮮明になってきているように、アパート経営においても同様の現象が今後より一層進むことが確実です。大切なのはアパート経営の「戦略」です。入居者となる人のターゲットを絞り、物件の量と質を定め、入居者が納得する家賃の水準で満室にして利益を出さなければなりません。

会計事務所には、アパート経営の戦略を、資金繰りと税務面からサポートすることが強く求められています。税務知識を切売りする、単なる「節税対策屋」の時代は終わりました。

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★あらかじめ修繕のための資金を確保しておく

修繕のための資金は次のように計算した「収支」の中で確保しておく必要があります。

≪収入≫
家賃収入

≪支出≫
必要経費(減価償却と金利を除く)
ローンの返済(元金+利息)
税金(必要経費になる事業税や固定資産税を除く)
修繕のための資金の積立て

修繕のための資金の「積立て」は、そのための預金口座を開設する必要はありませんが、「この分は修繕のために残しておかなければならない」という金額を計算し、その部分はほかのことに使わないようにしなければなりません。

★解約時の修繕

屋根や壁などの大規模修繕は、時期や金額についてある程度の予測は立ちます。蛍光灯、エアコンの部品取替えなどは少額です。予測不能なのは解約時の修繕です。特に解約が重なった場合です。次の入居者を早期に確保するためには直ちに修繕をしなければなりません。その際、管理会社や建築会社に任せきるにするのではなく、修繕の内容が必要十分であるかを自ら確認する必要があります。

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