【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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設立直後の活動停止(会社なんて設立しなければよかった)

2021-07-20 18:05:00 | 廃業、会社清算
会社を設立して直ぐに活動を停止するケースがあります。好奇心や期待感(節税や社会的信用など)からなんとなく会社を設立したけれども、会社としてのメリットがまったく感じられず、それよりも税務や社会保険の事務手続が思いのほか複雑で負担となることに耐えきれず投げ出してしまうのです。

設立後、まったく活動をしていなくても、活動する見込みがなくても会社は会社です。まずは、設立後の会社としての義務を果たさなければなりません。

◆設立届を提出する

会社は設立したならば、直ちに設立届を「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」に提出しなければなりません。会社はこれらの役所に会社に関する一定の情報を知らせなければならないのです。

◆税務申告は必須

会社は税額がゼロでも税務申告(法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税)をしなければなりません。この税務申告は活動を停止している場合も必要です。

税務申告は事業年度ごとに行います。事業年度が4月1日から翌年3月31日の1年間の会社が、4月1日に設立して5月31日に活動を停止した場合でも、税務申告は4月1日から翌年3月31日という事業年度単位で行います。

◆休業届を提出する

会社の活動を停止すると、活動中の会社とは異なる扱いになることもあるので休業届を提出しておく必要があります。この休業届は活動を停止したならば速やかに提出しなければなりません。提出先は設立届と同じ「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」です。

◆休業するまでの均等割を月割で納付

休業している会社には均等割が課税されません。均等割とは、都道府県と市町村が課税する利益の額とは無関係の定額の税金です。この均等割が課税されないようにするには休業届を提出しなければなりません。

事業年度途中から活動を停止した場合には、活動していた期間の均等割を月割で納付することになります(均等割は年額で税額が決まっています)。

◆解散に清算(登記と税務申告が必要)

なんとも奇異なことですが、設立後直ちに活動を停止した会社であっても、会社を消滅させるには解散に清算という手続をしなければなりません。解散と清算は登記事項であるため、法務局で登記が必要でそれについての費用もかかります。また、解散と清算についてはそれ独自の税務申告や諸届が必要となります。

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★会社に残る現金
活動を停止している期間は一切の入出金をストップさせなければなりません。そうでなければ利益は生じていなくても均等割が課税されてしまいます。なお、「それならば活動を停止する前に現金は全額会社から引き出しておく」としたならば、引き出した額が代表者の給与として課税されますので注意が必要です。

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