【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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法人税修正申告の手続(修正事項と修正申告書)

2019-06-19 18:30:00 | 決算書・試算表
法人税の税務調査が行われ、修正事項が発見された場合には修正申告書を提出しなければなりません。

◆修正事項とは

修正事項とは、当初の申告税額を増加させるような事項で、例えば次のようなものがあります。

〇売上の計上漏れ
意図的な売上除外(帳簿記録から隠す)は当然として、売上計上の時期が遅れている(申告年度に反映すべきものを申告年度の翌事業年度で処理している)場合もこれに該当します。

〇経費の過大計上
経費として処理できないもの、例えば役員や従業員の個人的費用の立替払い分を費用としている場合です。このほか、費用とする時期が早い(本来は申告年度の翌年度に費用とすべき)場合もこれに該当します。

〇在庫の計上漏れ
在庫のカウント漏れは当然として、カウント(検数)は正確でも評価額が過少であれば利益を不当に減少させますので、結果として法人税を過少に計算していることになります。

〇減価償却の過大計算
耐用年数を短いもので計算していた、償却開始時期を早めていた、減価償却の対象とせず購入年度に一括して費用処理していた場合です。

〇申告書の記載誤り
決算書の利益計算は正しいけれども、貸倒引当金、寄附金、交際費の限度額計算、受取配当金の益金不算入額の計算、税額控除の計算、税率など、申告書固有の計算を誤っている場合です。

◆修正申告書の提出(修正申告年度の決算書は修正しない)

修正事項がある場合には、当初の申告書に修正事項を反映させた修正申告書を提出しなければなりません。当初の申告書(確定申告)と修正申告書の申告書用紙は同一の様式ですが、修正申告書においては当初申告税額と修正申告税額を対比させてその差額(追加で納税する金額)を記載しなければなりません(さらに表題は修正申告と記載する)。

ここで注意しなければならないのは、修正事項があっても、その修正事項がある年度の決算書(帳簿)は修正しないということです。ですから、修正申告書においても決算書と一致しなければならない部分は修正しません。別表4の先頭(当期利益)、別表5(2)の納税充当金などは当初の申告書と同じ金額のままです。

〇申告書での加算(決算書の誤り)
「売上の計上漏れ」「経費の過大計上」「在庫の計上漏れ」「減価償却の過大計算」などは修正申告書の別表4で加算することによって利益を調整します。

〇申告書を書き直す(申告書固有の誤り)
決算書の利益計算は正しいけれども申告書の記載が間違っていて、結果として税額を過少に計算している場合には該当する部分を書き直します。交際費や寄附金の限度額計算、受取配当金の益金不算入額の計算などを誤っている場合です。

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