昨夜、魔犬に追われ、散々な思いをした二人が顔を見合わせた。その時、
「おい、チョウカ。どうした?」
レトの慌てる声が聞こえた。
その声につられて視線を移すと、チョウカが真っ青な顔で藁の山に凭れ掛かっている。
「どうしたの?」
グルラディーヌの問いに、レトが首を振る。
「ちょっと、見せて頂いてよろしい?」
側によるグリシーヌに、レトが場所を空けた。
脈を診てみる。かなり、弱い。それに、体温が、低くなっている。触れている手が冷たい。熱はないが、体力が随分落ちているようだ。
雨に濡れたせいだろうか?
その様子を心配そうに見ていたグルラディーヌが、ぽつり と、口を開いた。
「なんか、血の臭いがするんだけど」
一瞬の沈黙の後、レトが思い出したように手を打った。
「そういやこいつ、怪我してたんだ」
って、今頃、思い出さないでよ。
グルラディーヌは、一発、突っ込みを入れようかと思ったが、この状態では、それどころではない。
「怪我って、どこ?」
グルラディーヌの勢いに押されるように
「左足の膝の下んとこだ」
と、チョウカの靴を脱がし、ズボンの裾を持ち上げた。
多分、応急処置をする時に切り裂いたのだろう。裾が膝まで避けている。が、本当に、傷口に布を巻き傷の上を結わえただけの応急処置しかされていない。とはいうものの、こちらも大した薬がある訳じゃない。
「おい、チョウカ。どうした?」
レトの慌てる声が聞こえた。
その声につられて視線を移すと、チョウカが真っ青な顔で藁の山に凭れ掛かっている。
「どうしたの?」
グルラディーヌの問いに、レトが首を振る。
「ちょっと、見せて頂いてよろしい?」
側によるグリシーヌに、レトが場所を空けた。
脈を診てみる。かなり、弱い。それに、体温が、低くなっている。触れている手が冷たい。熱はないが、体力が随分落ちているようだ。
雨に濡れたせいだろうか?
その様子を心配そうに見ていたグルラディーヌが、ぽつり と、口を開いた。
「なんか、血の臭いがするんだけど」
一瞬の沈黙の後、レトが思い出したように手を打った。
「そういやこいつ、怪我してたんだ」
って、今頃、思い出さないでよ。
グルラディーヌは、一発、突っ込みを入れようかと思ったが、この状態では、それどころではない。
「怪我って、どこ?」
グルラディーヌの勢いに押されるように
「左足の膝の下んとこだ」
と、チョウカの靴を脱がし、ズボンの裾を持ち上げた。
多分、応急処置をする時に切り裂いたのだろう。裾が膝まで避けている。が、本当に、傷口に布を巻き傷の上を結わえただけの応急処置しかされていない。とはいうものの、こちらも大した薬がある訳じゃない。