時間は少し戻って、グルラディーヌが人形たちと森の中を走り回っていた頃、グリシーヌ達も空からの奇襲攻撃を受けていた。
「昨夜、襲われたのもこういうのですの?」
体に似合わないごつい剣を軽々と振り回しながら、グリシーヌが叫ぶ。
「いや、でかさはこんなもんだが、こいつらじゃねぇ。昨夜のは、もっとまともな鳥だった」
グリシーヌの剣より優に五割ほど大きい剣をぶん回しながら、レトが叫び返す。
出来る事なら森に駆け込んで相手の翼を封じたかったが、チョウカがいる。この怪我では、走るどころか歩くのもやっとだろう。
それにしても、レトが言っていた様に空を飛ぶものは、厄介である。
攻撃が頭の上から降り注ぐのだ。しかも、自分が危ないとなると、急上昇してこちらの手の届かないところへ逃げてしまう。
とりあえず今は、小屋があるから何とか持ちこたえられているのだが、それも、時間の問題だろう。
グリシーヌは、小屋の周りを見回した。
あたりに転がっているのは、いくつかの黒い羽根を持った巨大な塊。グリシーヌとレトが倒した空からの襲撃者である。が、そいつらは、後から後から湧いてくる。これでは、いくら倒してもきりがない。しかも・・・。
どうっっん
小屋が・・・。
べきっ
かなり
ばきききき・・・。
やばい状態に
ばべきしぃっっ
屋根から風が吹き込むのと、レトが大声を上げるのは、全く同時だった。
「うそだろぉ」
グリシーヌが振り返ると、天井から複数の襲撃者がなだれ込んで来るところだった。