「妹姫っ」
生命樹の根の隙間からグルラディーヌの手がだらりと垂れ下がった。
「おい、暴れるな」
足に絡んでくる水に対抗してグリシーヌを抱えるように踏ん張るレトだが、ここで彼女がバランスを崩せば一緒に落ちることは目に見えている。
信じられないことに、水が二人の足に絡みつき引きずり込もうとしている。しかも、最初は足首辺りに絡んでいた水が、じりじりと足を這い登ってきているのだ。
「くそ、あれがあれば・・・」
レトが呟く。
「どうかしましたの?」
この非常時にも落ち着いた声で問うグリシーヌに
「さっき、転がしたヤツ。あれがあれば、もしかしたら・・・・。なぁ、どっかに落ちてねえか」
「もしかて、水の中じゃございません? 転がって行って、そのまま水の中へ・・・」
「・・・・」
そう、話している間にも水は、じりじりと足を這い登ってきている。これでは、たとえ見つかっても拾うどころではない。
一方、意識を失ったグルラディーヌの腰にブラ下げた袋から、ぽちゃん と黒いものが落ちた。グルラディーヌが連れていた黒蛇である。
その蛇が体をくねらせ水の中を泳ぎ、グリシーヌたちのところに姿を現した。
思いっきり首を伸ばし、体を石畳の上に乗せて“よいしょ”という感じで、体を引き上げる。そして、何かを言いたそうに二人の顔を見上げた。
「???」
頭の周りでクエスチョンマークが飛び交うレトに代わり
「どうかしましたの?」
グリシーヌが話しかけた。
生命樹の根の隙間からグルラディーヌの手がだらりと垂れ下がった。
「おい、暴れるな」
足に絡んでくる水に対抗してグリシーヌを抱えるように踏ん張るレトだが、ここで彼女がバランスを崩せば一緒に落ちることは目に見えている。
信じられないことに、水が二人の足に絡みつき引きずり込もうとしている。しかも、最初は足首辺りに絡んでいた水が、じりじりと足を這い登ってきているのだ。
「くそ、あれがあれば・・・」
レトが呟く。
「どうかしましたの?」
この非常時にも落ち着いた声で問うグリシーヌに
「さっき、転がしたヤツ。あれがあれば、もしかしたら・・・・。なぁ、どっかに落ちてねえか」
「もしかて、水の中じゃございません? 転がって行って、そのまま水の中へ・・・」
「・・・・」
そう、話している間にも水は、じりじりと足を這い登ってきている。これでは、たとえ見つかっても拾うどころではない。
一方、意識を失ったグルラディーヌの腰にブラ下げた袋から、ぽちゃん と黒いものが落ちた。グルラディーヌが連れていた黒蛇である。
その蛇が体をくねらせ水の中を泳ぎ、グリシーヌたちのところに姿を現した。
思いっきり首を伸ばし、体を石畳の上に乗せて“よいしょ”という感じで、体を引き上げる。そして、何かを言いたそうに二人の顔を見上げた。
「???」
頭の周りでクエスチョンマークが飛び交うレトに代わり
「どうかしましたの?」
グリシーヌが話しかけた。