「蛇」という漢字の読みは常用漢字表に掲載された「ジャ」「ダ」「へび」の他に、音読みで「シャ」「タ」「イ」という読みもある。「ジャ」は呉音、「シャ」は漢音、「タ」は呉音と漢音、「イ」は呉音と漢音だ。「ダ」という読みに関しては漢和辞典によって慣用音としているのも呉音としている(この場合「タ」は漢音のみとしていることが多い)のもある。「イ」という読みは「曲がりくねった」という意味を表す。
「蛇」という字が頭に来る熟語で「蛇管(じゃかん)」(ホースのこと)、「蛇骨(じゃこつ)」、「蛇紋」、「蛇皮線(じゃびせん)」など「じゃ」と読むものもいくつかあるが、漢和辞典では「蛇」が頭に来る熟語(見出し語として掲載されたもの)は「だ」と読むものしか載っていないことが多い。「蛇」が頭に来て「じゃ」と読む熟語はほとんどが日本で作られた言葉や比較的新しい言葉だからだろう。「蛇口(じゃぐち)」、「蛇腹(じゃばら)」など、重箱読みするものも多いね。「蛇行」は「だこう」とも「じゃこう」とも読み、国語辞典では両方の読みで載っていることが多いけど、漢和辞典では「だこう」のみが載っていることが多い。
「蛇」という漢字は中国語では「shé(シュー)」と読む。これは生き物の「へび」を表す。
他に「yí(イー)」とも読み、これは日本語の音読みの「い」に対応し「曲がりくねった」という意味。
漢和辞典で漢字の中国語音が載っているものではだいたい「shé」と「yí」の二つが載っているが、他に「tuó(トゥオ)」という読みも載っている漢和辞典もある。
「shé」は日本語の音読みで「じゃ、しゃ」、「tuó」は「だ、た」と対応していると考えられる。「じゃ」という読みと「だ」という読みは別系統だっただろう。
古代の中国語には蛇を指す単語が「tuó」と「shé」の二つ(実際の当時の発音は現代とは異なる)があっただろうと推測できる。「它」という字も「へび」を意味し(蛇の形に由来)、「tuó」は「它」の読みでもある。「shé」は蛇が発する「シャー」とか「シュー」という音に由来していそうだ。
今年に入ってラジオで「蛇」という漢字のカタカナの「ヒ」みたいな部分はニョロニョロした体を表していると言っていた。私は「蛇」という漢字からは(音読みや中国語読みから)蛇が発する「シャー」という音を連想するし、それに由来するものと前から思っていた。
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