1959年にジャズ名門レーベルVerveからリリースされた、ライル・リッツによる50年代ジャズ・ウクレレ二部作の二枚目。ファースト「How About Uke? (Verve, 1958) 」はアメリカ人のライル氏が、ウクレレを用いてハワイアン音楽ではなく見事にアメリカのジャズを弾いてみせた、という点が大きなポイントであったが、二枚目の本作では少し目先を変え、(当時のアメリカ人の想像する)ハワイのイメージに寄せて来た。というのも本作がリリースされた同じ年の1959年3月18日、アイゼンハワー大統領はハワイをアメリカ合衆国の州として認める新法案に署名、同年8月21日にハワイは正式にアメリカの50番目の州となった。本作ジャケットもそうしたお祝いムードを反映し、当然セールス面での相乗効果も狙ったものになっている。結果アメリカ本土では期待したほどのセールスは上がらず本作でVerveとの契約は打ち止め、ライル氏はベーシストに転身しセッション・ミュージシャンとしてのキャリアを歩み始める。しかしウクレレの本場ハワイではこの後永らく伝説的名盤として語り継がれていて・・・という話が現在では定説になっている。
サウンド面ではシンプルなジャズ・コンボ演奏だったファーストに対して、本作では曲により木管楽器のアンサンブルやビブラフォンなどを配したジャズ・オーケストラをバックに再び巧みなコード・ソロを基調としたジャズ・ウクレレの見事な演奏を聞かせている。ジャケット裏面には珍しいカッタウエイ付きボディのテナー・ウクレレ(一説によると50年代のギブソン製TU-2のカスタム仕様らしい)を弾くライル氏の写真(ファーストの表ジャケットに使われたものと同じ時の写真と思われる)が興味深い。
01. Leis of Jazz
02. Rose Room
03. Polka Dots and Moonbeams
04. Blue Hawaii
05. Clean From Porterville
06. Song Is You
07. Perjazz
08. Hana Maui
09. Blue Lou
10. Skylark
11. On the Beach at Waikiki
12. Pick-a-Lili
02. Rose Room
03. Polka Dots and Moonbeams
04. Blue Hawaii
05. Clean From Porterville
06. Song Is You
07. Perjazz
08. Hana Maui
09. Blue Lou
10. Skylark
11. On the Beach at Waikiki
12. Pick-a-Lili
日本では2003年にアメリカ・ルーツ音楽の研究家・鈴木カツが仕掛け人となった「アコースティック・スウィング」の文脈でユニヴァーサルの「アコースティック・スウィング・コレクション」10枚の一作に選ばれ、紙ジャケットでオリジナル・アナログ盤のデザイン復刻を意識した世界初のCD化が実現したのは快挙だった。プロデュースや編曲に関してクレジットは確認できないが、どの程度までライル氏自身の仕事なのか、Verveのスカウトマンだったバーニー・ケッセルの制作関与はどの程度あったのか(或いはなかったのか)、など興味が尽きない。
(追記) Jim Beloff氏の著書『Uketopia!』によれば本来Verveとは3枚のアルバムリリース契約であったが、発売当時2作の売れ行きが期待にそぐわず3枚目の話はなかったことになった、という事だそうである。同書にはLyle氏愛用のギブソン・カッタウエイの全体が拝める写真も掲載されている。