13日、胆振軽種馬農業協同組合主催の「生産者向け講習会」が苫小牧で開催され、大手の牧場従業員や獣医師など約130名が参加した。
簡単な内容は下記のとおり。
Ⅰ、『骨疾患と栄養学の関わり』
JRA日高育成牧場 生産育成研究室 主査 井上喜信氏
<概略>
競走馬の骨の働きや構造についての話から始まり、DOD(発育時に発症する運動器疾患)の発症原因などを説明。
DODを予防する飼養管理方法として、
1、繁殖牝馬の飼養管理については、胎児のときから子馬の骨格は形成されるので、十分なミネラル摂取を心掛ける必要がある、そして肥満に注意する。
2、哺乳期の子馬への栄養補給としては母乳や放牧草では不足するミネラルを飼料で補給(クリープフィーディング)する必要がある。
3、離乳後の育成馬の飼養管理は、過剰なエネルギー摂取を控えつつ、ミネラルは十分に摂取する。BCSをチャックし摂取バランスに気をつける。
各栄養素の働きについても説明があり、最後に今後新たな栄養素として「ビタミンK」、「カゼインフォスフォペプチド」、「イソフラボン」などに注目しているとのこと。
Ⅱ、『幼駒の肢蹄管理-立ち方・歩様で決める蹄のカタチ-』
JRA日高育成牧場 業務課 診療防疫係 種間誠氏
<概略>
装蹄師側から見た生産地が抱える蹄の問題点について解説。
トレセン業務経験のある講師が生産地へ来て、日本の競馬サークルの中で生産地が最も「蹄」に関する意識が高いと感じているとのこと。
まずは装蹄の目的について、
1、蹄の磨耗防止
2、肢蹄疾患の治療・予防
3、能力の向上
が基本であり、装蹄師は対処療法を出来ても、痛みを取ってあげたり、治療することはできないので、獣医師との協力が欠かせないと熱弁。
普段の削蹄では蹄だけを見ているのではなく、姿勢と歩様を見て、それらを少しでも標準に近づけるように削蹄をしている。その歩様検査の際は、「外弧か内弧か?」、「どこから最初に蹄が踏むのか?」、「球節の沈下は良好か?」などに着眼しているとのこと。
クラブフットを含め、蹄や肢軸の矯正は大人になってからはできないことが多いので、早期矯正(幼駒期)が大事。(下肢部の成長板が閉鎖し始める6ヶ月齢まで)→矯正用のシューズや充填剤などの紹介。
まとめとして、「日頃から愛馬の観察とケアを心掛けて欲しい」と、社台FやノーザンFを例に挙げ、「生産者・獣医師・装蹄師が一つのチームになる事が今一番必要である」と熱く語っていた。
by
馬市ドットコム