オール・ノットのパールのネックレスは
パールの一粒一粒を一回一回しっかり結んで作られている。
だから、糸が切れてもバラバラにほどけていかない。
この本には不器用な女性たちが何人も出てくる。
嘘があったり、妬みがあったり、苦労があったり、失敗があったり、
綺麗ではない生々しい感情や生き様がたくさんでてくる。
それでも、登場人物のひとりひとりが魅力的に見えるのは、
彼女たちが弱いところを見せながらも、
力強く生きて、人生を前に前に進んでいっているからだろうか。
そして彼女たちの結びつきが宝石みたいに輝いているからだろうか。
特別な出会いだと思っていたのに、
何かのきっかけでプツンと切れてしまう人間関係もある。
でも、
心を通わせたと思った瞬間があれば、その瞬間から、
人と人はオール・ノットの技巧で結ばれているのかもしれない。
ネックレスの輪が切れてしまっても
人と人はどこかでつながり、バラバラにならない。
心の中で思い続けているだけでも、
その人の人生に大きく大きく関わっているわけなのだから。
その人の残した言葉やしぐさから
たくさんの影響を受けて人は変化していくのだから。
転勤族で日本の各地で暮らしてきた私には
たぶん再会することもないだろう人間関係がたくさんある。
連絡することも会うこともないのだろうけれど、
そんな出会いがあって今の私があると思っている。
私のことは忘れられてしまっているかもしれないけれど、
私の中にはその人たちとの日々が生きていて、
私の歴史になっている。
出会いは、
人の歴史となるくらい強い結びつきだ。
絆とは、
断とうとしても断ちきれない結びつきのこと。
きっとどの出会いもオール・ノットの技巧で結ばれている。
7月31日 おかん