娘の楽が就職して、はや3か月。
一人暮らしにようやく慣れてきたこの頃、
任される仕事も責任が増してきた様子。
帰宅が遅くなる日もあるらしい。
「疲れたよ~。
昨日はご飯も食べず、知らぬ間に一日が終わっていた・・・」
なんてLINEでメッセージがくると、
心配性な私は、楽のいない家でひとり、
部屋の中を行ったり来たり、おろおろしてしまう。
でも、きっと楽は乗り越えていくと思う。
そう思うのは、小さな小さな保育園時代の楽が、
立ちはだかる壁をガッツで乗り越えた瞬間を見たから。
身体を使った体操をたくさんする保育園だった。
運動会の年長さんの競技に、壁のぼりがあった。
立ちはだかる壁に向かって走っていって、
勢いよく壁を越えていく競技。
小さいみんなにとって、
垂直に立つ壁は、とてつもなく高く見えるだろう。
それでも、機敏な子たちは次々と成功していく。
人一倍身体が大きくて、体重も重かった楽は、
なかなかできるようにならない。
壁の途中まで勢いで食らいついていくけれど、
そこから体を押し上げられず、力尽きてしまう。
延長保育のぎりぎりの時間に駆け込むようにお迎えに行った。
すると、先生たちと壁のぼりの練習をしている楽がいた。
がらんと広いお部屋に壁を設置して、
先生が見守る中、勢いよく壁に向かって駆けていく。
壁に食らいついては落ち、しがみついては落ち、
それでも負けずに、何度も壁に向かっていく。
運動会本番。
壁のぼりの種目が始まった。
次々とみんな成功して、楽の番になった。
1回目失敗。途中までくらいついたけれど、落ちてしまった。
元の位置まで駆け足で戻る楽。
くるっと振り向いて、再び壁に向かって駆けていく。
その一瞬をおとんが写真に収めた。
壁にくらいついた。手が壁の上まで届いた。
そこから体をもちあげて!腕で身体を引っ張りあげて!
ふんばって!がんばれ、楽!
乗り越えた!!
2回目、大成功!
おとんの撮った写真を見せてもらった。
何度挑戦しても失敗ばかりする壁に向かっていくとき、
楽は困った顔をしているだろうか。
泣きそうな顔をしているだろうか。
写真を見るのが怖かったけど、
見てみることにした。
楽は大きな大きな笑顔で笑っていた!
びっくりした。
苦手なものへと向かっていくときに
大きな大きな笑顔を見せる楽。
我が子を尊敬した瞬間だった。
そんな瞬間を見ているので、
きっと楽はお仕事の困難も乗り越えていってくれると
信じられる。
でも、
無理はしないで。
ご飯をきちんと食べて。
たくさん寝て。
と、親は、願い事がつきない。
遠くから、おろおろしつつ、見守っているよ。
7月10日 おかん
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