ロシア旅行を目前にして、最後のロシア皇帝「ニコライ二世の日記」保田孝一著(講談社学術文庫)を読んだ。彼の14歳から処刑される4日前までの36年間の日記。ロシア革命以後を除いて毎日克明に十数行以上の日記を書いていた。1891年訪日し琵琶湖半大津で巡査に襲われた皇太子時代。周囲は大騒ぎだったが彼は意外と冷静で寛容だった。家族を大切にしママ、ママと特に母親を慕いマザコンであった事も伺われる。そして狩猟や舟遊び三昧。皇后アリックスの政治介入、謎のラスプーチンとの交友…などロマノフ王朝崩壊の一因だったらしい。最後の事実上の抑留生活でもニコライは「家族が一緒に暮らす事に満足していた」と言うのですから、悲しい。