Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

荒地の恋 ねじめ正一 (文芸春秋)

2014-05-30 14:55:27 | 日記
ねじめ正一が詩人とは知らなかった。私は詩の知識は全くない。戦争体験を経たモダニズムの詩人たちの結集団を”荒地派”と言う事も始めて知った。この本は詩人であり翻訳家の北村太郎が53歳で親友の詩人の妻と恋に落ちた実話を元にした話です。思い込むと一途に気の赴くまま走ってしまう。そんな事が受け入れられた社会が一時代前にはあったのです。著者は詩人らしく語彙は豊富で丁寧に書いている。離婚して後の放浪の生活、娘の結婚などどん底を突き抜けて数十編の詩が一冊の本となり出版される。その果てにあるのは白々とした自由であリ終わりは開放でなく自由も悲惨の一種と言っています。解る気がする。離婚しても一度築いた家庭の軌跡がありそこから離れられない苦しみ、それは深い感情を持つ歳を重ねた人間の証だと言えると思う。遅れ馳せながら著者の直木賞を受賞した”高円寺純情商店街”も読んでみたいと思った。