井上光晴と瀬戸内晴海(瀬戸内寂聴)の不倫をその娘が書いた。当時から有名な話であったからもっとどろどろした関係があったのだろうと思っていたが、美しい井上の妻と特異な思考の持ち主の瀬戸内晴海の情愛がさらっと書かれていて美しさをも感じられ不思議だった。憎めない井上光晴、美人であるから揺らがない妻の座、幾つもの修羅場を潜って来た瀬戸内晴海この三者であったからお互いに認め合い交じあっていけたのだと思う。娘である著者が冷静に三人に愛情を持って書いたからさらっと美しく書けたのだと思う。そして瀬戸内晴海は出家し三人は同じ寺にお墓を持ったと言う。娘も認めている暖かい様、それもいいでしょう。