あんずの里のお寺で法事を済ませ、ばあさんの小さな骨壷を納骨して一安心。
親戚一同、車で今夜の宿の「あずまやま高原ホテル」に向かう。
国道144号線をどんどん上って行き、菅平高原への分かれ道から長野街道を鳥居峠方面へ進み、途中で県道182号線に入り、さらに「あずまや高原ホテル」への1本道を上る。
ホテルから先に道路はなく、散策路と登山道の中に別荘が点在し、クマなどの野生動物が徘徊する森林だ。
ホテルに到着するとすぐに着替え、小僧と共に無謀にも何も持たずに走りに出た。
ホテルの人に聞くと、ゆっくり歩いて1時間程度の散策路だとのことで、まあせいぜい5㎞ぐらい走れればいいやと軽い気持ちで森の中に入った。
別荘が見える辺りは踏み固められた道で、分かれ道に散策路と登山道の道標と共に、トレイルコースの表示もあったので、こりゃいいやと迷わずそちらへ進む。
進むほどに道らしきものはなくなり、それでも散策のハイカーと出くわす辺りまでは比較的快適に走れた。
ところがしだいに道は険しくなり、大雨が流れた後らしき石ころがゴロゴロした窪みや、木々を払いのけながら、蜘蛛の巣を顔にくっつけながら、道なき道がどこまでも続く。
突然小川に突き当たり、石を踏んで渡るも、滑って靴はびしょ濡れ。
ここへ来てようやく、このコースが優しいものではないと自覚した。
3つの小川を渡り、両脚はずぶ濡れ、いけどもいけども出口の見えない上りに、小僧は弱気になって遅れがちだ。
だが引き返すよりは前に進んだほうがいい、道標はまだ先を示しているのだから。
ハアハア、ゼイゼイとガレ場を登りつめると、視界が開け広大な牧場に出た。
遠くの山の上で牛が草を食んでいる。
この牧場のフェンスが続いているのなら、まちがいなくこの道はどこかへ出るのだと小僧を安心させ、再び走りやすくなった草むらを急ぐ。
しだいに草むらは開けてきて、ついに舗装道路に突き当たった。
そこの地図を見ると、いま走ってきたところはまさに「菅平スカルトレイル」の牧場コースで、牧場は「菅平牧場」だった。
さてさて、舗装路にぶち当たったのはいいが、帰り道はどうすればいいのか ?
仕方がないから急坂を喘ぎながら上り、根子岳と中四阿の登山道の分かれ道で、牧場の人に道を聞いた。
すると牛舎の脇に運搬用の道があるので、それを進むとホテルへ戻れることがわかった。
すでに5㎞以上走っているが、水分補給はしていない。
陽射しはあるものの、幸い高原の風は爽やかで、小僧も大丈夫だというので、のんびり草を食む牛を見ながら走って、運搬用の道を下る。
下るとはいっても時々上り、ぬかるみもあって、時刻は5時に近い。
日が暮れる前にホテルに着かないと、濡れたシューズとウェアでは凍えてしまうだろう。
だが広大な牧場の間を縫う道は、気持ちがいい。
その途中に、思いがけずにこんな石碑が。
なだらかな草原のダウンヒルはとてつもなく気持ちがいいだろう。
いつかこのコースを走ってみたいものだ。
すこし元気が出てさらに進むと、が~ん !!
柵があって行き止まり
よく見たら木々に隠れるように道標があり、ホテルへの矢印がしてあった。
こうなりゃ柵を乗り越えて進むしかない。
再び泣きそうになる小僧の尻をひっぱたき、柵をよじ登らせ、鬱蒼とした森林の中へ。
今度はずっと下りだ。
しかしスピードがのって転びやすいので注意しなければ・・・、そう言おうとした矢先に小僧がコケた。
運良く柔らかい土の上に落ち葉が堆積していて、怪我することなくすんだ。
GPSウォッチは9㎞を超え、まだ陽は落ちていないが木々に遮られて薄暗い。
こんなところでクマに出くわしたらヤバイと思い、大声を出すことにした。
「風呂っ !! メシっ !! ビール !! 」
声が反響して森の中に吸い込まれる。
やがてまた行き止まりの柵が・・・。
ここまで来て行き止まり
だが向こうに、どうやら別荘地の道らしきものが見える。
柵の端に回ってみたら、人ひとりすり抜けられる隙間があるではないか。
よしっ !! やっとトレイルは終わりにちかづいたようだ。
行きに上った踏み固められた道を、今度はなんの抵抗もなく全力で下る。
小僧も今までにない速度でついてくる。
4時過ぎに出発して2時間、11.4㎞の予想外の本格的トレイルランを終えて、ホテルに帰ってきた。
あとはもう
「風呂っ !! メシっ !! ビール !! 」
以外のことは考えられないのだった。
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