お好み夜話-Ver2

完走はしたけれど・・・

2万人以上のランナーが集うとトイレ待ちも大変だが、まだ時間の余裕はたっぷりある。

旧居留地で行われている「神戸ルミナリエ」にもランナーがいっぱい。

「阪神淡路大震災」から20年経ちすっかり復興を遂げた今も、あの記憶、経験を風化させないモニュメントがあった。

大会のテーマは「感謝と友情」だ。


Dブロックの列に向かうと、クォーターのランナーが整列している反対車線から「ホリちゃん」が声をかけてくれた。

小僧は伴走の「ホリちゃん」をぶっちぎって1時間切りでゴールしてやると息巻いているが、おそらく途中で失速するに違いない。

なぜなら、気温はどんどん上昇して日の当たる場所は半袖でもいいくらいだからだ。

小僧は暑さに弱い、それは42.195㎞を走るランナーにも言えることで、寒さ対策のホッカイロをお腹と背中に付けたオヤジは走る前に剥がして、ソラカラの被り物をしたかあちゃんも暑さにやられないかと気にかかるが、

まあとりあえずノリノリみたいだ。


午前9時スタートの号砲が鳴るが、ゆっくり歩いて進むだけで、神戸市役所前のスタートラインを通過したのは約7分後。

元町6丁目の交差点を左折してJR神戸駅の高架をくぐると、道幅が広くなってきてようやく団子状態が少しだけ解消される約3㎞地点。

少しペースが速い、抑えなければと思うがこのまま行けるところまで行ってしまえという気持ちになる。

5㎞付近の最初の給水所をスルーして行くが、暑い💦アームカバーを引き下ろして手袋を脱ぐ。

JR新長田駅の高架下を右折していくらか行くと、待ちに待った「鉄人28号」のモニュメントの後ろ姿が見える。

そのままJRの線路沿いを鷹取、須磨海浜公園へ向けて走りながら、ウエストポーチから「塩熱サプリ」を取り出して舐め、次の給水所でヴァームと水を摂る。

道幅が狭いところもあり、京都や大阪のコースを彷彿させ、小さな起状とカーブを過ぎると国道2号線に入る。

ここまでは快調、かすみがうらの時のように楽に鼻呼吸でキロ5分4、50秒をキープしている。

左手に海が見え、まもなく10㎞を過ぎてクウォーターのフィニッシュポイントを通過。

スプリットタイムは1時間5分、スタートのロスタイムの7分をマイナスしても57、8分になるから、1年8ヶ月ぶりのポンコツオヤジのペースとしちゃ速すぎるが、ちょっと後ろ姿がいい女の子を見つけちゃって、その娘のペースで走っちゃった

海沿いの道は道幅が規制され、またもや団子状態でペースがややゆっくりになり、先頭集団が折り返して来るのとすれ違う。

15㎞を過ぎるとやや息が荒くなり、首筋が凝ってきて喉が渇いてきた。

橋の緩い上り坂に喘ぎ見ると、明石海峡大橋に向かってランナーが吸い込まれるように走っていく。

携行した水素水を飲もうかどうか迷いながらペースダウンすると、目印の女の子を見失い、左ひざに違和感が・・・。

応援の人たちが多い舞子公園の折り返し地点は明石海峡大橋の真下で、その少し先の17㎞過ぎが第4関門。

中間点までは水素水を飲まないと決めていたが、この暑さではそうも言っていられなくて、ポーチから取り出して一気に半分飲む。

20㎞の通過タイムが1時間56分だからペースダウンしてはいないが、あきらかに体感上は衰えがきている。

首筋と肩の凝りがひどく、汗が目にしみて息は荒い。

声援にも応えられず、センターライン寄りを進む。

すると、反対車線を黄色い星が近づいてくる、かあちゃんだ !!

けっこう必死の形相だが、かあちゃんにしては速いペースだ。

ハイタッチして別れ、かあちゃんには追いつかれまいと、新たなペースメーカーにピンクの阪神タイガースのユニホームを着た女の子の後に食らいつく。

中間点を過ぎると最初の給食ポイントで、ヴァームとバナナを補給する。

気を紛らそうと大漁旗をひるがえす漁船からの応援に目をやり、25㎞地点を目指す。

もうクウォーターの連中は走り終わり、ひょっとすると応援に来ているかもしれないので、みっともない姿を見せられないと意地で腕を振って走る。
(だがこの連中はとっとと宿へ戻って着替え、南京町に昼メシに行っちゃってたのだった)

須磨駅の目と鼻の先で、ついに左ひざの内側がつった

1年8ヶ月ぶりにして初めての左ひざ内側のつりに、つんのめりそうになって立ち止まる。

ちょうど数メートル先に、エアーサロンパスを吹いているランナーを見つけ、それを持って応援していた方にスプレーを借りて吹き、ストレッチをして再び走り出す。

ぎこちないながらもだましだまし走っていると、前方になにやら見慣れた黄色いマークを認め、寄って行くとなんと「むっちゃん」と師匠ではないか

師匠がいるってことはマゴたちはあれっ、ひとり ?? サプライズ ???!!!

わざわざ応援に来てくれて忝ない

脚つりの兆候はまだまだあるが、少し元気になって先へゆく。

次は35㎞地点でコーラを持ってまっててくれるとのことなので、遅れないように頑張らねば。


だが、一ヶ所がつると次々と他も不調が出てくるのは経験上わかる。

まして今回はつるのが早すぎた。

せめて30㎞過ぎならば、なんとか我慢してでも目標タイムに食らい込むのだが・・・。

師匠と「むっちゃん」と別れて1㎞も行かないうちに再び強烈なつりがきて、たまらず路肩に寄ってガードレールにつかまると、係の人が声をかけてセーフティーコーンで場所を作ってくれて、エアーサロンパスを持ってきてくれた。

膝だけじゃなく腿にも脹ら脛にもスプレーを吹いて、ストレッチをして走り出すのにたっぷり3分はかかった。

やがて意地の30㎞地点を3時間18分で通過すると、なんだか貧血のような感じで、目の前が白っぽくなるような気持ち悪さが襲い、たまらず歩く。

次の給水所で水分補給と給食のバナナにミカン、頭と顔に冷たい水をかけると目眩のような感じはなくなり、少ししゃっきりして走り出す。

だがまた歩き、そして走りを繰り返すも、ぜんぜんもうペースが上がらなくなった。

貧血だか目眩だかわからないが、栄養が足りてないのか ? はたまた薬のせいか ? それとも根本的にヤバイのか・・・。

ここまでの道程で、道路に倒れて介抱されているランナーや、車椅子に乗せられようとしているランナーを3人は見た。

自分がああいうお世話になるのはゴメンだ、救急車も収容車も願い下げにして、師匠と「むっちゃん」の待っていてくれる35㎞地点へ進まなければ💪

走っては止まりストレッチしては歩き、遅々として進まず、声援にもまったく応えられないまま時間と距離を重ねてゆく。

やがて最後の難関、自動車専用道路の浜手バイパスが見えてきて、道幅が狭まり左にカーブしているところを大回りすると、「auちゃん」手書きのモグランポの旗を掲げている師匠と「むっちゃん」を発見して駆け寄る。

お待ちかねのコーラを頂き、どこかで買ってくれたエアーサロンパスを吹き付け気合いを入れる。

そうなのだ、ここからが最後の頑張りどころ、最初の150mで一気に10m以上を上るというバイパスを駆け抜ければ神戸のハーバーが広がり神戸大橋へと至り、そこを渡って下ればポートアイランドに入って残りは4㎞ほどでゴールだ。

つり出してからなるべく負担をかけないようにと上げなかった ( 上げられなかった😩 ) 足を意識的に上げて、もはやほとんどのランナーが競歩状態の急坂を歯を食いしばって駆け上る。

坂の上でひと息つき、再び意識的に手足を大きく動かし前へ進み、抜かされたランナーを抜き返す。

一般の人は立ち入りできない自動車専用道路に、ボランティアの男の子や女の子、スタッフの方々が横一列に並んで花道状態で応援してくれるのに笑顔で返し、何とか走り続ければ視界が開け、港が一望できるビュースポットに出た。

多くのランナーが写メを撮っているので、ひと息がてらパチリ。

汗でレンズが曇ってしまった😜

赤く塗られた神戸大橋が見えてきたので、レンズを拭いてまたパチリ📱

橋を渡り、つんのめるように坂を下る。

いよいよポートアイランドに入り、しおさい公園で景色を眺めながら大学生のバンドの応援ソングに聴き入り、あと少しだというのに、5、6分後ろに迫っていると思しきかあちゃんを待っているかと弱気になる。

40㎞地点通過、また目眩、そしてついに脹ら脛が痙攣してつった😱

センターラインに寄って脚を伸ばしストレッチ、両頬を引っ叩いて喝を入れフト見ると、沿道で応援している子供がアメとスプレーのプラカードを掲げているではないか🙏

これぞ天の助け、ヨロヨロ歩いて行ってスプレーをかけ、アメをもらった。

残り1㎞ちょっと、「ここで走らにゃ男じゃない‼️ 」なんて小僧に向かって言ったセリフが、今はテメェにはね返ってきた。

30㎞地点から40㎞地点まで1時間22分もかかってしまったので、少しでも遅れを取り戻すべくホントに歯をくいしばって、足を上げ腕を振って、フィニッシュゲートのある市民広場の直線道路をダッシュした。

笑顔でゴールというポリシーをかなぐり捨てて、苦しい顔で倒れこむようにゴールした。

掲げた目標は達成できず、記録グロスで5時間5分34秒、ネットタイムで4時間57分55秒、やはりフルマラソンは甘くなかった・・・。

なんども何度もやっても、うまくいかない。

ポンコツな自分を過信して、前半飛ばし過ぎたツケが回ってきたのだ、初心者の陥るワナだ。

でも、でも、過去にないぐらい苦しくて不甲斐ない結果だったけれど、それでもこのマラソン大会は好きだ。

来年、またいつか当たったら、もう一度神戸は走る、絶対💪 ( ホエ~、リベンジの大会ばかりじゃ・・・)


ちなみに、かあちゃんは自己ベストを更新して、初めて途中でトイレにも行かず、ネットタイム5時間10分25秒でゴールした。

アブナイアブナイ、油断しまくっていたら追いつかれてしまったかもしれない・・・。

まあ何にせよ楽しかったのだ。



で、次回は「魚の棚」でハゲを喰らうお話しサ😄

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