そこで15人乗りの釣り船に積み替え、夕暮れの海へ乗り出した。
波を蹴立てて進む船上で、オヤジの脳裏に響いていたのは♪「兄弟船」
天草の町が遠ざかり、雲仙が間近に見えるあたりでエンジンが止まり、「極楽丸」に小さな舵が取り付けられ、船尾に線香、提灯に灯が灯り、静かに海上へ下ろされた。
波間に揺られ、それでも意思あるもののごとく、「極楽丸」は釣り船を離れ島原半島の方角に遠ざかってゆく。
船上の15人は、感慨深げにそれを見送る。
夏の夕日を浴び、「極楽丸」の銀や金のモールが輝やき、エメラルドブルーの海に見え隠れする。
えもいわれぬ感動。
転覆したらどうなるとか、あとで回収するのかとか、野暮な疑問はとりあえずおいといて、初盆のメインイベントは終わったのだった。
それにしても、長い一日であった・・・
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