「失踪者」。
カフカの「変身」は多分高校生の頃に読んだ気がするけれど、全然面白くはなく。
それ以来何も読んだことはない。プラハに行ってカフカが住んでいた家を
見に行って、そこでリルケのエッセイを買っては来たけど。
何十年かぶりのカフカ。当然不条理でこめんどくさく、
全然面白くないんだろうと思っていた。
そしたらなんと!面白かった!
まあまあそこそこの分量を3日で読んだ。これはエンタメ並みのスピードですよ。
それももっと読みたいと思ったのをセーブして3日だから、ずっと読んでいられるなら
1日で読み終わったかもねー。イメージと違ってけっこうページターナー。
わたしはこれを夢の中の話として読みました。
そう思わなければ読めなかった気がする。不条理というほど強いものではないけど、
「なんでこうなる?」という流れの話だから。
夢の中って、いつの間にかこうなっているということが既定になっているものでしょう。
自分がいつの間にか他人になっているとか。
なぜかわからないけど怖い人に追いかけられているとか。
冷静に考えれば「どうしてこうなった?」ということの連続だけど、
夢の世界のなかでは特に疑問を持たない。
この作品も話の流れはそれと同じ。
下船する時、顔見知りに荷物を預けて、
確認もしないのにその顔見知りが荷物を盗んだことになってしまう。
突然アメリカで成功したおじさんが出て来る。
突然そのおじさんが引き取ってくれる。
でも突然おじさんに見捨てられてしまう。
途中で出会った2人組を、信頼してないのに道連れになり、いつの間にか別れてしまう。
そういう、ちょっとずつずれていく世界の流れが面白かった。
訳も平易。池内紀。有難し。
もっとカフカの作品を読んでみようと思ったほど。
※※※※※※※※※※※※
「カッサンドラ」。
「ユリシーズ」というタイトルでも舞台は著者の同時代のダブリンであるように、
「カッサンドラ」というタイトルで、舞台は現代なんだろうと思ったが、
どうやら舞台自体は古代ギリシャのままのようだ。
が、書いてある内容が現代の小説のよう。
知らない名前も出て来るので、これ、カッサンドラ……?と戸惑う。
あんまり面白くないかなあ。なんとか読んだけど、読むのに苦労した。
かなり観念的な小説。ヘクトルやパリスも語られるけど、一人称の語り手である
カッサンドラは、父プリアモス、母ヘカベーのことを語る時でさえ観念的。
家族について語っているという情は特に感じない。
登場人物が入れ代わり立ち代わり細切れに語られるので、
読んでるこちらとしては、もうちょっとじっくり読ませてほしいと感じる。
でもギリシャ神話を語る話じゃないからね。
ギリシャ神話に仮託して、現代を語る話ですからね。
何を書いてるのかさっぱりわからなかったので中込啓子による解説を読んだところ、
女性として「主体」を回復しようとするカッサンドラを描く
と書いてあった。そういう、難しいテーマを描いた作品だそうです。
ちょっとわたしには読んでも理解が出来ない。
これがある時期のドイツでベストセラーだったそうですから……
外国のベストセラーは「こんな難しい本がベストセラー?」と思うことも多い。
日本でも相当に流行った「薔薇の名前」なんてのも難しかった記憶があるなあ。
ベストセラーは普段本を読まない層が読むからこそのベストセラー、という
持論のわたしは、これ買った人はみんな読んでるのだろうか?と思った。
ウンベルト・エーコ、しばらくぶりに読んでみようか。
10年後くらいになるだろうが。
カフカの「変身」は多分高校生の頃に読んだ気がするけれど、全然面白くはなく。
それ以来何も読んだことはない。プラハに行ってカフカが住んでいた家を
見に行って、そこでリルケのエッセイを買っては来たけど。
何十年かぶりのカフカ。当然不条理でこめんどくさく、
全然面白くないんだろうと思っていた。
そしたらなんと!面白かった!
まあまあそこそこの分量を3日で読んだ。これはエンタメ並みのスピードですよ。
それももっと読みたいと思ったのをセーブして3日だから、ずっと読んでいられるなら
1日で読み終わったかもねー。イメージと違ってけっこうページターナー。
わたしはこれを夢の中の話として読みました。
そう思わなければ読めなかった気がする。不条理というほど強いものではないけど、
「なんでこうなる?」という流れの話だから。
夢の中って、いつの間にかこうなっているということが既定になっているものでしょう。
自分がいつの間にか他人になっているとか。
なぜかわからないけど怖い人に追いかけられているとか。
冷静に考えれば「どうしてこうなった?」ということの連続だけど、
夢の世界のなかでは特に疑問を持たない。
この作品も話の流れはそれと同じ。
下船する時、顔見知りに荷物を預けて、
確認もしないのにその顔見知りが荷物を盗んだことになってしまう。
突然アメリカで成功したおじさんが出て来る。
突然そのおじさんが引き取ってくれる。
でも突然おじさんに見捨てられてしまう。
途中で出会った2人組を、信頼してないのに道連れになり、いつの間にか別れてしまう。
そういう、ちょっとずつずれていく世界の流れが面白かった。
訳も平易。池内紀。有難し。
もっとカフカの作品を読んでみようと思ったほど。
※※※※※※※※※※※※
「カッサンドラ」。
「ユリシーズ」というタイトルでも舞台は著者の同時代のダブリンであるように、
「カッサンドラ」というタイトルで、舞台は現代なんだろうと思ったが、
どうやら舞台自体は古代ギリシャのままのようだ。
が、書いてある内容が現代の小説のよう。
知らない名前も出て来るので、これ、カッサンドラ……?と戸惑う。
あんまり面白くないかなあ。なんとか読んだけど、読むのに苦労した。
かなり観念的な小説。ヘクトルやパリスも語られるけど、一人称の語り手である
カッサンドラは、父プリアモス、母ヘカベーのことを語る時でさえ観念的。
家族について語っているという情は特に感じない。
登場人物が入れ代わり立ち代わり細切れに語られるので、
読んでるこちらとしては、もうちょっとじっくり読ませてほしいと感じる。
でもギリシャ神話を語る話じゃないからね。
ギリシャ神話に仮託して、現代を語る話ですからね。
何を書いてるのかさっぱりわからなかったので中込啓子による解説を読んだところ、
女性として「主体」を回復しようとするカッサンドラを描く
と書いてあった。そういう、難しいテーマを描いた作品だそうです。
ちょっとわたしには読んでも理解が出来ない。
これがある時期のドイツでベストセラーだったそうですから……
外国のベストセラーは「こんな難しい本がベストセラー?」と思うことも多い。
日本でも相当に流行った「薔薇の名前」なんてのも難しかった記憶があるなあ。
ベストセラーは普段本を読まない層が読むからこそのベストセラー、という
持論のわたしは、これ買った人はみんな読んでるのだろうか?と思った。
ウンベルト・エーコ、しばらくぶりに読んでみようか。
10年後くらいになるだろうが。
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