「パクッとパセリ」という絵本
娘と私にとって、思い出深い一冊。
それは、昔、通っていた小児科医院の待合室に置かれていた。
熱が出て、しんどい待ち時間。
娘は必ずこの絵本を持って来て「読んで…」とせがんだ。
熱に浮かされ、力無く潤んだ瞳。でも、この本を読むと、いつもにっこり微笑んだ。
数日後、元気になった娘が催促するのは必ず「オムライス」。もちろん、パセリを添えて…
それから「パクッとパッセーリ、オイシイネ〜」と言いながら、嬉しそうに頬張った。
おじいさん先生が、よく診てくれたその小児科医院は、もう閉院している。
娘はその医院の前を通るたび、今でもこの絵本の話しをよくする。
数年前、私も懐かしく思い、この絵本を購入しようと探したが、どうしても見つけられなかった。
ネットの古本屋やオークションでも、売り切ればかりで手に入らず、もう諦めかけていた。
ところが、私のように、この絵本を欲しがる人は他にもいたらしい。私の知らない間に再版されていたようだ。
少し前また、ふと…、思い出してネット検索したところ、他の絵本と一緒にメルカリに出品されているのを見つけた。もちろん迷うことなく、即座にクリック。
やっと手に入った。懐かしい絵本。嬉しい。
来春には、初孫が誕生する予定。
今度は、その子と一緒にこの絵本を読むのが、私のささやかな願いでもある。