Google mapで遊んだ。
私は引っ越しが多い子ども時代を送った。
今のようにLINEやSNSで繋がることの出来ない時代、離ればなれになった友達とは、文通で繋がるしかなかった。
数年間はやり取りが続いても、次第に関係は途絶えていった。私の住所が次々と変わるため、音信不通になってしまったのか。または私の側が、新しい地で新たな人間関係を作ることに熱心になったからか。いずれにせよ、先の地の友人達とは、だんだん疎遠になった。
齢60にして、ふと立ち止まった時、幼い頃に遊んだ友達は、今の私にはもう誰もいない。
子どもの頃は、子ども時代にどんな意味があるのかもわからなかったけれど、子ども時代の原風景って、人格形成にものすごく重要なものだったっな…って思う。
もう簡単には訪ねては行けない距離の所にある、かつて住んでいた家や遊びに行った友達の家、通った小学校への通学路など、Google mapのストリートビューで辿ってみた。
なんだか懐かしさで、胸いっぱいに込み上げてくるものがある。
つらいことも多かった子ども時代だけど、春にはレンゲの花で埋め尽くされる田んぼの中で首飾りを作り、夏には学校プールに通い、秋には季節の果物狩りをした、冬はそんなに寒くなくて、一年中暖かい日差しと綺麗な夕日が私を包みこみ慰めた。
自然には、人を育む大きな力があると思う。そういう場所で子ども時代を過ごせた私は幸せだった。
幼馴染とは疎遠になってしまったけれど、幸い心許せる友達は今、私にもちゃんといる。
暑い夏の一日、私は一人で思い出探しの旅をした。