川口はいいところよ・・  ようこそ新潟へ

新潟県中越地震震源地から今年で早や12年。そげ落ちた信濃川の河岸段丘の表土も自然の力で草木が戻りました。

地震その時(再掲8)

2007-02-01 16:26:46 | ワブログから引っ越しました
「何か希望はありませんか?」

「実はまだ夕飯を食べてないんです。」

「飲み物はないですか?」

「寒くなってきて・・・」



「わかりました。」

脇で聞いていた従業員は余震で揺れる真っ暗な建物に入っていった。

「毛布や布団あるよね。」

手分けをしながら防寒衣やコタツ布団などを運び出してきた。

売店や厨房からも押し寿司や笹団子が運び出され

めいめいに配られた。



満天の空は星がきらめき

空気は透き通るように冷えていった。



団体のマイクロバスから声がかかった。

「バスの中はまだ空席がありますから車の中が狭い人は遠慮しないではいってください。」

それぞれが食料品やお土産品を持ち寄って木のテーブルを囲み

思い思いの出来事を語り合い中

「公衆電話が使えますよー。」

弾んだ声がかかった。



「管制室に連絡しなきゃね。」

「支社と本社にも・・」



公衆電話に列が出来ていた。

滞留者の一人が

「みんな待っているから長電話はやめよう。」

居合わせた人はうなづいた。



ようやく各人がそれぞれに家族や会社に連絡がついた。



「私越後川口SAの者です。」

「上下合わせて8・90台ほど滞留車両があります。けが人はいません。」

「本線上の滞留車両はわかりません。責任者がいませんのでどなたか着てください。」

「とても今はいける状態ではありません。そこから出てもらえませんか?」

「一般道は亀裂や段差が出来て通行できません。何とか着てもらいませんか?」

「わかりました。確認を取ってみます。こちらから連絡は出来ませんので

少し経ったらまた、かけてきてください。」



管制室と連絡がとれた・・・・



他の同僚たちの所在の確認を本社に託した。



「すみません。

どなたか小銭はありませんか?」

「あるよ。」

「両替してください。」

「いいよ。寄付!寄付!」

あちこちからカンパが集まった。