今日まで、そして明日から

定年間近の単身赴任親父が、ボケ防止のために忘備帳を綴っているのです。

重かったなぁ~

2017年05月08日 | 日記
 昨夜7時からのBSフジ、『ザ・ノンフィクション ~われら百姓家族~【遺言】』という番組、タイトルに釣られて観始めたら、底なし沼に引きずり込まれるかのように、のめり込んで観てしまいました。


 大学時代は学生運動に明け暮れ、卒業後は国鉄労組の事務員を経て、無印食品の宅配の仕事に就いていたときに、「排気ガスを撒き散らしながら健康食品を運ぶことに矛盾を感じた」ことと、結婚して生まれた長男がアレルギー体質だったことが合わさり、奥さんも賛同してくれたので、一家で兵庫県の山村に移住して自給自足の生活に入った「男」の半生のノンフィクションでした。

 自然の中で暮らすうちに、長男のアレルギーも治り、次男・三男・長女・双子の二女・三女が誕生し、大家族での自給自足生活も軌道に乗り掛けたかに思えた矢先、双子の末っ子たちが5歳のときに奥さんが一人で山を降りてしまうのです。

 それでなくても自給自足の生活は厳しいのに、お母さんという一方の柱を失ってしまった家族の日常生活が映し出されました。

 「百姓というのは農業をやるだけじゃない、百の仕事をするから百姓というんだ」という「男」のポリシーのもと、家族全員で米・野菜作りはもちろんのこと、家畜(豚・ヤギ・鶏)を飼いそれを潰して食料にし、炭を焼き、水力発電装置まで自前で作ってしまう、卵を産まなくなった鶏を潰す(首を落とす)のも子供の仕事なんです。

 山での暮らしが嫌な三男が、一時期東京へ出て俳優を目指すものの頓挫して戻ってきたりすることもありましたが、長男・次男・長女は、それぞれに自給自足生活志向の伴侶を得て、自宅近くに居を構えるという「男」の願いが適うのですが、「男」が癌に侵されてしまうのです。

 その癌というのは、顎にできる癌で徐々に顔が癌細胞に侵食され左目を切除、家族全員の当番制で24時間体制の看護生活が始まるのですが、いよいよ末期になりホスピスに入るのです。

 人生の最後に「男」が願ったのは、21年前に出て行ってしまった元妻に会いたいということ、長男は最後まで頑なに拒絶しますが、次男以下が母親の居所を探し面会に来てもらうのです。

 母親を許すことが出来ずに病院に来なかった長男に、「男」が電話します、「お前の気持ちを考えずに悪かった」と。

 それからほどなく「男」は74歳の生涯を閉じるのです、葬儀の模様や死に顔まで映し出されました。

 葬儀が終わった後、長男がインタビューにこう答えました、「一つの季節が終わったような気がする。ありがとうと言いたい、もう会えないけど・・・」、それから程なくして長男家族は山を降りたそうです。

 
 そんなドキュメンタリー番組でした、「男」の覚悟、母親を失った子供達の家族愛、当分、重くのしかかってきそうです。