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青空ーすべてはバランス

ウイルスの基礎知識ー5最終 遺伝子のコピーミス

これまでに勉強してきて分かったように、ウイルスも生きのびるために他の生物の細胞が必要で、ウイルスの種類によってそれぞれ自分に適した生物を選ぶのでしょう。
動物の事を考えると、獲物が豊富にある環境にいる動物が丸々と太って元気がいいのは当たり前でしょう。ウイルスも同じように考えることができるなら、宿主の細胞内でうまく増殖したウイルスが宿主から出た途端にすぐ次の宿主がいて入り込めた!となると、元気なままにすぐにまた増殖しそれを繰り返すことになる。どんどんどんどん拡散する。
こんな感じになるのでしょうか?人間側から言えば「感染爆発=パンデミック」になる。
ウイルス側から見れば、獲物が豊富にあると言える。でも問題はそれだけではない。ここにとんでもない問題が潜んでいるからです。
2つの問題があります。

1 遺伝子情報のコピーミス
変異と突然変異についてはpart4にもあります。
「インフルエンザウイルスは、その表面にあるスパイクのようなHA、NAという2種類のたんぱく質の突起(part3に記載)が、ヒトの免疫機構から生き延びるためにその特徴を変えています(侵入するときと増殖して出る時に活躍。)。これを変異と呼びます。」・・・part4から 
 
ウイルスが自分の遺伝子をコピー(複製)する時、ミスコピーが発生します。これがウイルスが型を変えていく変異の原因と言われています。
RNAウイルスの特徴は「壊れやすいけど増殖が早い(part1参照)」のでしたね。
1個のウイルスは1日で100万個以上に増殖。人の1000倍の確率でミスコピーを起こす。これにより少しづつ変異を起こす。毎年どんなインフルエンザが流行するか予測してワクチンを変えているのはこのためですね。

2 複数の遺伝情報を持つウイルスの混ぜ合わせによる突然変異
鳥インフルエンザで見てみましょう。
①鳥と人の両方のインフルエンザウイルスが、ブタに同時に感染(ブタは両方のウイルスに感染しやすいし、ブタの体内で両者の遺伝子が交じり合うことにより、新型インフルエンザウイルスになる。
2009年に発生したブタ由来の新型インフルエンザ(A/H1N1型)はこのタイプとなる。

鳥インフルエンザウイルスの感染と同時に従来のインフルエンザウイルスにも感染した場合、人の体内で遺伝子が混ざり合い新型インフルエンザになる。 

③鳥インフルエンザウイルスが人に感染。人の体内で変異を繰り返しているうちに突如人から人への感染性を獲得して新型インフルエンザウイルスになる。 

以上の事で参考事項があります。
1 鳥インフルエンザはもともと野生水鳥(渡り鳥)が腸内に持っているウイルスです。これが鶏など鳥同士に感染します。冬になり北方から渡ってくる水鳥に注意しなければいけません。毎年北海道で渡ってくる水鳥のウイルスを調査している研究者がいます。ありがたい話です。

2 本来、その動物には共生しているウイルスがいますが、これが人に感染し、さらに人から人に感染するほどに大きな変異を起こすことがある。この場合は突然変異型で新型となる。そしてウイルスの感染力は絶大(変異の仕方により)となり世界的大流行(パンデミック)を引き起こしやすくなる。

参考:世界的に流行し多数の死亡者が出た新型のインフルエンザ
大正7年(1918年)
・スペインインフルエンザ(スペインかぜ)A/H1N1亜型
世界の死者数4000万人(国内38万人) 
昭和32年(1957年)
・アジアインフルエンザ(アジアかぜ)A/H2N2亜型 
世界の死者数推定200万人以上 
昭和43年(1968年)
・香港インフルエンザ(香港かぜ)A/H3N2亜型
世界の死者数約100万人 
昭和52年(1977年)
・ソ連インフルエンザ(ソ連かぜ)

参考:例年のインフルエンザの受診患者数と死亡者数
例年は、国内で推定約1000万人。
年間の死亡数は214人(2001年)~1818(2005年)人。

2009年の新型インフルエンザの場合
受信患者数は推定約2000万人。入院者数は2010年3月31日までに17,646人となっている。
厚生労働省は、重症化や死亡した例などを除いて、新型インフルエンザかどうかを調べるPCR(遺伝子)検査を当分の間行わなくてよいとしたため、国内の正確な感染者数は不明となっている。今回の新型コロナも同様のことを行ったということだ。 

参考
人間の場合にもDNAの複製の時にミスコピーが起きる。若い頃はわずかですが、高齢になるとミスが多くなる。そうすると細胞に悪い影響を与え「がん」になりやすくなる。高齢者に「がん」が多い理由になっている。人工的な化学物質が細胞を傷つける場合もあり、そういう場合もミスコピーを誘発する。
ウイルスの場合は、ミスコピーが遺伝子の変異を招き、宿主細胞の免疫やワクチンの防衛をくぐりぬけるプラスの働きをしてしまう。これは偶然なのか?いや!ウイルスのこの単純な構造は生きのびるための必然なのでしょう!しかし、これほどの繁栄をウイルスは予測し得ただろうか?
妄想しました・・・
もともと生物に個別に入り込み、細々と生きのびてきたと思われるウイルスですが、何故狂暴になったのか?
ウイルスは「お前たちが裕福になったから、俺たちもおすそ分けにあずかってるだけだ!」と言うのだろうか?「お前たちが俺たちの生きやすい環境を作ってくれたんじゃないか!」と言うのだろうか?
殻に包まれたRNA(リボ核酸)丸出しに遺伝情報を携え、難なく他の生物の細胞内に入り込む。そこで寄生した細胞のDNAやたんぱく質の働きを利用して遺伝子をコピーし増殖する。そして宿主が密集する所がお好きでそこで強力になり拡散するらしい。

単純さは、一つひとつの理論を緻密に組み合わせ構築した組織体になんなく侵入して組織を乗っ取り自己増殖に利用してしまう。
理論武装した人に打ち勝つためには、何もそれを上回る理論武装をしなくても、極限まで自己の理論をそぎ落とし、相手の理論を利用すればいい。自分のミスさえも相手のかく乱に使い、相手を封じ込めることができると思えてくる!?

              お わ り

参考

写真はacworksさんによる写真ACからの写真

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