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青空ーすべてはバランス

痛みについて考えてみました!part3覚醒のオレキシン

脳からの指令で痛みを制御する系統を下行性疼痛制御系(かこうせいとうつうせいぎょけい)という。
最初に体のどこかの部位に異常があると、侵害受容という仕組みで脳に伝えられ、痛みが作られる。
どいうこと?
痛みを起こす刺激(侵害刺激)は侵害受容器を通じて痛みとして脳へ報告されるということ。侵害受容器を介さない痛みは、神経障害性痛(神経障害に起因する痛み)と言います。 

この報告を受けた脳はどうするのか?
脳は、報告のあった侵害受容器に与えている刺激を調整して、「脳がどのぐらいの強さで痛みを感じたらいいのか」を調整するようです。

ここでちょっと重要な物質の事を理解しておきます。
痛みについて考えてみました!part2で、β-エンドルフィン(endorphin)のことを書きました。脳内で働く神経伝達物質の一種で、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれます。おいしいものを食べた時も分泌します。この時、快感や多幸感・意欲 をもたらすホルモンであるドーパミンも分泌されます。この物質により、食べたらおいしい!食べたい!という意欲・欲望が強く出てきます。おいしいものを食べると脳内ホルモンのオレキシンが分泌され、具体的に消化器官の働きを活発にして(覚醒)、満腹でも食べることのできる大食いも可能にしてしまいます。

痛みの調節・制御について具体例があります。
スポーツ選手が試合をしている時、怪我をしているにもかかわらず、そんなそぶりも見せず、試合を続行している姿をよく見ます。試合が終わったとたんに苦痛に顔をしかめるような状態になっている。

実は、視床下部に存在するオレキシン神経が活動すると、痛みを感じにくくなることが明らかとなっています。
極端な例では、スポーツなどの運動・活動時や興奮時には、オレキシン神経活動が上昇して、痛みを感じにくくなるが、落ち着いてくると痛みを感じ始めると考えられています。よく聞く話ですよね。

これが脳からの指令で痛みを制御する系統の働きです。

職場の宴会などで、みんながワーワー言ってるやかましい状態の中で、大切な好きな人の声や行動だけを聞き取ったり見たりすることができる。様々な情報の中で、重要な特定の情報だけを強く検出する仕組みが脳にもともとある。
β-エンドルフィンには脳内麻薬と言われるように鎮痛効果がありますが、その鎮痛効果だけでは瞬時の判断力を必要とするスポーツ選手の動きを高めることはできないでしょう。オレキシンはもやもや状態からすっきりとした覚醒状態を作り出し具体的に体を活発に動かせるようにしていると考えられますね。

長引く慢性痛の方が、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感を得られるβ-エンドルフィンを分泌するような興味ある関心ごとに集中するように精神を高めていけば、オレキシンが分泌され覚醒し少しづつ具体的な行動が伴っていく。このようにして痛みを制御することができれば、痛みに打ちひしがれるだけの日常生活も改善する可能性があるのではないでしょうか!

オレキシンは、1998年に発見された神経ペプチド。「食欲」を意味するギリシャ語「orexis」から名付けられました。命名は櫻井武氏ら研究グループによるものだそうです。

参考: 国立研究開発法人日本医療研究開発機構サイト



イラストレーター : ASAKURACさん 

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