外で昼ごはんを食べた時、蕪のお新香が添えてあった。和食だからお新香が付くのは不思議とは特に思わないが、蕪はあまり近頃はお目にかかれない。そんなことを気にしながら、先日のことを何気に振り返っている。
妹から蕪をもらったことがある。いきなり電話が入って、蕪のお新香を漬けたので今から届けると言う。それはうれしい電話だった。蕪そのものよりも、そういう気持ちをあらわす行動がありがたいと思った。
時代が進んで、どんどん人間関係が希薄になればなるほど、こういう小さな思いがなんともうれしいと感じる。これは必ずしも兄弟間だけとはかぎらない。
今はスーパーでいろんな菜を売ってはいるが、やはり葉や茎を食べる草本類は、お新香というひとつの良味をもつ。熱いご飯にお新香。もちろん傍らにはこれまた熱い味噌汁。朝食にすぐ結びつけるところは、やはり昔の人間なのだろうか。おそらく私は古い日本人かもしれない。
でも、良いものは良い。昔にも良いものはたくさんあるのだと菜のある朝食をしながら思う。
「つれづれ(87)蕪のお新香」