時間が少しとれたので、近くの公園まで車を走らせた。といっても片道50分ほどの距離ではあるが。
途中から渡良瀬游水地をながめ、それから田園地帯へと入る。水田が見事なまでに区画割りされていて、さすが日本の田畑だなと窓越しから妙な感心をする。
そして町並みを抜け、沼へ向かう途中、急に開けた視界。
日光連山がくっきりと姿を見せている。これほど目を楽しませてくれる日光の山々は何年ぶりだろうか。
橋の上からいくらか風にそよぐお目当ての群れを見つける。右にも左にも鯉のぼりがそれは数えきれないほど泳いでいる。平日ということもあり、人出はさほど多くなく、ゆっくり鯉さんたちと語ることができた。
これら空を泳ぐ鯉たちを見て、川を泳ぐ本物たちはどう思っているのだろうか。「あの空を私たちも泳げたらな」などとは川の鯉たちは思っているはずはないけれど、ギネスにも載っているこれらの鯉のぼりの数にはきっとたまげているのだろうなと思う
江戸時代に武家の屋敷で始まったこの鯉のぼりの行事。
男子の健康と出世を願って、その庭先に飾ったのが最初らしい。本来は真鯉のみで、緋鯉は明治時代になってから対であげるようになったとか。
そんなことを考えながらカメラのシャッターを念入りに切る。
帰りぎわ、この鯉のぼりイベントの本陣ともいえる市役所脇の川を訪ねる。ここの数はさすがにすごい。
こんなにたくさんの鯉のぼりを見ていると、世の中のイヤなことをすっかり忘れてしまいそうになるくらいの錯覚に陥る。
コイワズライしている人も、そうじゃない人にも是非見てもらいたい春の景色だと思う。
「つれづれ(64)鯉のぼりの季節」