玄関のチャイムが鳴った。家人が何事かと思いながら、朝の玄関ドアを開ける。それはなんてことはない、普通の宅急便であった。
誰からかと目をやれば、差出人はカタカナで6文字。東京からの住所になってはいるが、まったく聞いたことはない会社名義。そのとき私には、ひょっとしたらという思いが走った。
ガサガサした袋を開けると、中にはお菓子がたくさん入っている。
先月応募した不二家の川柳での賞品とのこと。入賞したのをまったく知らなかったが、しっかりと挨拶状も同封されていたので、そうなんだあと納得する。
作品は喜寿になって、やっと千羽鶴が折れたというものだが、テーマが「わが家のチャレンジャー」だから、よかったのかななどと自分に言い聞かせる。
もちろん私はまだ喜寿にはなっていないが、それは川柳の世界。ということよりも、創作の世界といったほうがよいのかもしれない。詩も川柳も小説も、実話だけでなく架空の想像などが許される世界なのである。
詠み手が本人になりきって、好きなように書く。それが文学の楽しみの一つなのだ。
最近は川柳人口が急激に増えているという。実数ははっきりとはわからないが、知り合いにもけっこうやっておられる方がいるようだ。
けれどその中には、ダジャレや語呂合わせを川柳と思っている方がおられる。ダジャレ川柳というか、ただ面白いだけの川柳が事実増えてきたような気がする。それはそれで良いのだと思う。
けれど,本格的な川柳を目指している方にとっては少々気になる存在だろうか。
王道川柳とまではいかなくても、もう少しダジャレによらないしみじみとした川柳が注目されてもよいような気がする。
このペコちゃんのお菓子たちを眺めながら、なんとなくそんなふうに思っている。
喜寿過ぎて 初めて折れた 千羽鶴
あべっち
令和3年2月 「スマイル川柳」 不二家
「つれづれ(5)不二家からペコちゃんのお菓子をいただきました 」