メキシコ原産で明治8年に、イタリア人ラグーザーがその種子を母国から持参したのが始まりというコスモス。
花期は8~10月くらい。
繊細な姿のわりには、繁殖力が強い。花色も白から濃い紅色まで実にさまざまです。でもやはり、ピンクと白が一番秋の空には似合うような気がする。赤系が少し混ざったその姿は、まさに日本の秋を代表する風景。私のお気に入りの花の一つなのだ。
現在はコスモスと呼ばれているが、これは外来語であり、以前は日本ではアキザクラと呼んでいた。この花はコスモスという呼び方よりも、なんかアキザクラという和名のほうがこの花にはふさわしい気がする。秋の桜という字が、ついそう思わせてしまう。それが最近では秋の桜と漢字で書いて、コスモスと呼ぶ人もいるようになった。この由来を知っている人は案外少ないのだろうか。勿論その読み方は当て字で、植物事典にはそういう読み方はない。
和名を正確にいうと、秋桜(アキザクラ)、大春車菊(オオハルシャギク)となる。なおコスモスという呼び方は、ギリシャ語から由来したラテン語のようらしい。
元来は日が短くなる秋になってから咲く、短日植物とされていたが、改良種には日の長さに関係なく種まき後2~3ヶ月で開花する早咲種が多くなっている。植物界にもそういうふうに開花の時期を想定して、種子蒔きを調節する花が近年はだいぶ増えてきたようだ。
種は4月から蒔けるので、つまり花を咲かせたい時期から逆算して、2~3ヶ月前に蒔くとよい。また数回に蒔く時期をずらすと、次々に開花して、花期が長く楽しめる。
なお草丈は90~150cmくらいだが、蒔く時期と関係があり、遅らせると低く育つ。咲き終わった花がらを早めに摘みとると、また次々に花をつけるので長期間楽しめる。
春がサクラなら、やはり秋はアキザクラだろうか。
春秋のおのおのの季節になると毎年同じことを思う。特にサクラの花より、アキザクラの花により強くそう感じている。
コスモスのよく動きゐる花の数 高浜 虚子
「季節の花(31)コスモス」