秋の七草を代表する花。
9~10月にかけて紅茶色や白の蝶形の花をたくさんつける花。
奈良時代頃に一番人々に愛された花は、若い頃には梅だとばかり思っていた。次いで桜かなと。
後になってそれは萩なのだと知った時、正直疑問が先に生じてきたものだった。なぜ萩が一番なのかとその頃は不思議でならなかった。
万葉集には一番多く詠まれた花で、調べてみたらなんと141首。
梅が119首で、次いでヒオウギ79。松、橘と続く。ちなみに桜は42首で第8位。
さらに萩は古今集にも多く読まれ、春の梅、秋の萩が昔から日本人にこよなく愛されたことがよくわかる。
そもそも草花や木の漢字もほとんどが中国から伝わったものだが、草冠に秋と書く「萩」という文字は日本で生まれた数少ない和製漢字なのだ。
とにかくこの花の風にそよぐ姿は風情がある。花言葉は柔らかな心、誠実。
どこか控えめな美しさ、風情が古来から日本人の心を動かし、秋の花として最も愛されてきたのだろう。今年も水戸の萩はまたきれいに咲いているとつい先日の新聞で知った。
原産地は東アジアだという。
古くから日本に渡り、この花には古来から多くの人々の慣れ親しんだ思いがいやというほど染み付いていることになる。萩は日本の歴史の中に早くから存在し、さぞやさまざまな時代を生き抜いてきたのだと今さらながらに思う。
「季節の花(10)こよなく愛された萩」