あんり外がいい気持ちなので、庭の花や木を眺めてみた。猫の額のようなちっぽけな庭だけど、「咲けば都」ではなく、「咲けば庭」などと思いながら。
そうして、玄関から花ばさみを持ち出す。
早春にたくさん花を付けてくれた椿の木。枝切りなど始めるとは思ってもみなかったが、気まぐれに伸びてきた小枝を切っている。この家に住みはじめてまもなく丸39年。住むとほぼ同時に育て出した苗木だから、同じ年数だけ椿もわが家に住んでいることになる。
葉にはいいようのないほどのツヤがある。きれいな花をいっぱい付けているときは喜んで見ていたが、ポトンと花を落とした後はもう見向きもしなかった椿。
こんなに葉が美しいとは少しも知らなかった。見てはいたのだけれど、きっと心にとめていなかったのだと思う。
身近なものほど気付かないってことが案外多いのだなと今日はしんみり思っている。
「季節の花(6)椿の小枝を切ってみて」