3週間も前から探していたムギナデシコ。急にこの花がほしくなってあっちこっち探していた。鉢植えでも切り花でも、なんとか手に入らないものかと思っていた。平成30年のことである。
その時、つまり5年前の5月下旬には花屋さんでもなかったし、今年はもう終わったと言われたこともしっかりと覚えている。鉢植えの販売の時期は5月中旬で終了したらしかった。そのお店の地植えの花は風に舞っていたというのに。手に入らないのが少しばかりくやしい思いをした5年前が忘れられずにまだいた。
それから翌年にはいくつ花の名所やお店を訪ねただろうか。そして偶然訪ねたその地でポピー花摘みの一種にこの花があった。「麦なでしこの花摘み」。その看板を見た瞬間のよろこびようは当時何と言い表せばよかったのか。
なんとしても地植えか鉢物を手に入れたかったが、それはぜいたくと自分に言い聞かせながら、根元から15センチのところにハサミを入れた。庭植えや鉢植え、そして切り花にもみんな似合いそうなこの花。たしか4年前のその時は仲間5人で訪ねたっけ。うち一人はもう遠くの地へ旅立ってしまったのだが。
そんなさまざまな思いのいっぱいつまった麦なでしこ。
4年前のあの5人で訪ねた時と同じ地で、今日はその麦なでしこを同じように見つめた。メンバーこそ違うが、同じく5人。
花摘みこそ行われてなかったが、帰路に立ち寄った花屋さんで偶然見つけた鉢売りの麦なでしこ。
ヨーロッパ原産でありながらどこか風情のある、日本人好みのする花だと思う。
花言葉は育ちの良さ、自然を好む。ピンク色の風になびく姿が、花びらにも花言葉にもぴったりのような気がする。
4年前のその時の仲間を思い出しながら、今こうして麦なでしこの鉢植えを見つめている。
「季節の花(41)麦なでしこ」