近くのスーパーに出かけてみる。入口を入るとすぐに元気な野菜や果物が顔を出す。そのパターンはどこの店へ行っても一部の最大手をのぞいてはほぼ同じだ。たまにそうではない品たちの出迎えに出くわすと、かえってこちらが面食らうほど今では野菜果物が定番として入口付近を賑わす。旬のものにかぎらず、まるで勢揃いというふうな感じさえする。
仰々しく、すまして並ぶ姿は買い物をする側にとってはまことに心地よい。しかも茄子でも胡瓜でも人参でも、目につくのはきれいな美人さんばっかり。まっすぐに背伸びして、スタイルが良くて、見ていていかにも食欲をそそぐような形だ。
そういう野菜や果物の並ぶお店ばっかりの昨今であるが、以前に寄った道の駅は少し違っていた。正面に並ぶ品物は他の店と同じような、代わりばえのしない野菜たちだったが、人々がある一点に集中していた。
見れば茨城名産のプリンスメロンの陳列場所に5~6人ほどの人だかり。手に取ってみたら、大袋に8個入りで飛ぶように売れている。よくビニール越しの袋の中を見てみるとやや小粒で、従来のようなメロンの容姿からは少しずれている。それでも客は何のためらいもなく買っていく。
袋には300円や150円と書かれてある。これは魅力だ。しかも税込みである。茨城名産のプリンスメロンが8個で150円税込みで買えるなら、そりゃあ普通の人は買っていくだろう。
私もさっそくカゴに入れ、付近のいちご1パックとともにレジに並んだ。ついでに茄子5個の150円もプラスして。
家に帰るやいなや、そにうちの1個をパクつく。甘いなんてものではない。最高のでき頃で、最高の味。
それでもあらためて残った7個をながめたら、その器量のほんとうに悪いこと。スーパーが一番嫌う品々だ。
「つれづれ(69)器量の悪い野菜や果物たち」