やいまの島々美しゃ・心美しゃ

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「しまじまかいしゃ・きぅむかいしゃ」と読みます。

「ひ」からはじまる絵本

2020-07-02 | 読書

いつも絵本を5冊借りるとき、日本人作家ばかりでも外国人作家ばかりでもつまらないのでバランスよく借りるようにしています。

「ひ」は、日本人3冊、外国人2冊となりました。

 

ヒガンバナのひみつ かこさとし作 小峰書店

今年の4月25日~6月7日まで、名古屋の松坂屋美術館で予定されていた「かこさとしの世界展」、すごく楽しみにしていたけど、新型コロナのせいで中止になりました。

くぅぅ~残念

来年でも良いから、仕切り直してぜひ、開催して欲しいです。

さて、この『ヒガンバナのひみつ』ですが。。。

表紙の裏の見返しを見てまずびっくり。

ヒガンバナってこんなに別名があるんですねえ。わたしゃ、せいぜい「マンジュシャゲ」くらいしか知りませんでした。

特に大分県、愛媛県、和歌山県で別名が多い。しかも50音で、ざっと見たところ「ヌ」「メ」「ル」「レ」で始まるもの以外は全部あります。

こんなに別名の多い花は他にはないのでは。。。

ヒガンバナの、怖い秘密、楽しい秘密、すごい秘密、全部で15の秘密が紹介されていますが、飢饉の時の非常食だったというのも知りませんでした。

江戸時代の主な飢饉の年表を見ると、東北での冷害による飢饉が多かったのですね。

今は、農業の技術も発展して幸せな時代だと思います。

ただ、「幸せな時代」ということを考えると、江戸時代でなくても、1934年、かこさんが小学3年生だった時にも東北の冷害による飢饉があったそうで、かこさんがあとがきに書いている「大人も子供も、疑うことを知らぬ、貧しいが人情あふれる時代だった」という言葉が胸にじんと来ました。

今、21世紀の初めは果たして心の面では幸せな時代だろうか?

 

ひだまり 林木林 文 岡田千晶 絵 光村教育図書

ああ切ない

愛するメス猫を失ったオス猫の悲しみ、という点では、佐野洋子さんの有名な『100万回生きたねこ』を思い出しましたが、たぶん、『100万回生きたねこ』のほうは子供でも強く感じるものがあるであろうのと比べると、こちらの『ひだまり』のほうは大人向けの絵本のような気がします。

両作品に共通する、他にこびない「自分が一番強い」と自負しているようなタイプのオス猫が、「愛」を知るようになったという感動に加えて、こちらの『ひだまり』のオス猫トラビスは、最後に「利他」にまでたどり着いたのがとても美しい展開だと思います。

ちょっとネタバレっぽくなっちゃったけど、ぜひ、読んでもらいたい作品です。

柔らかく、美しく、ピュアな絵も秀逸。

 

ひとりでおとまりしたよるに フィリッパ・ピアス 文 ヘレン・クレイグ 絵 さくまゆみこ 訳 徳間書店

原著のタイトルは AMY'S THREE BEST THINGS(エイミーの一番いい3つのもの)。日本語のタイトルとは大きく違いますが、それはそれで良いと思う。

エイミーのお父さんが全く出て来ないけど、それもあまり詮索しないことにしましょう(笑)

自分が伯母さんの家に泊まりに行った時のことを思い出しました。。。子供にとっては、親戚のうちにお泊りに行くだけでも大ごとですよね。

エイミーにとって最高の3つのものは、お母さんとビルとボンゾなのでしょうね。

 

ひみつのいもうと アストリッド・リンドグレーン 文 ハンス・アーノルド 絵 石井登志子 訳 岩波書店

うんとふくらましたら短編作品になりそうなストーリー。

単純に、お母さんの愛情を弟に取られてしまったバーブロという女の子が自分で作りだした空想の世界の妹、と考えたくなりますが、それは置いておいて、ちょっと妖しさもある地下の世界で妹と過ごす時間を読者も楽しむのが良いと思います。

それにしても絵の魅力的なこと

最初のページの、おじさんみたいなひげを生やした蜂も味があるし、白兎たちも可愛いし、ハミングする小川のほとりに咲く、中心部が顔になっている花たちも、見た瞬間「なんだこれ、すごく良い」と思いました。

ハンス・アーノルドさんという画家はスイス生まれですが、スウェーデンに移住してイラストレーターとして活躍し、ABBAのベストアルバムのアートワークを手掛けたこともあるらしいです。

「ABBA ベストアルバム ハンス・アーノルド」で検索すると出てきます。ふうむ、これもすごく良いですね

ピアスとリンドグレーン。。。英国とスウェーデンのそれぞれ有名な児童文学作家の作品、奇遇なことにどちらも「弟がいる女の子」という共通点がありましたが、この2冊に限っていうならリンドグレーンのほうに軍配を上げる私です(笑)

 

ひろい かわの きしべ THE WATER IS WIDE 八木倫明 文 葉祥明 絵 国土社

日本でもCMなどで使われているので、きっと誰もが耳にしたことがあるであろうスコットランド民謡。

この絵本では英語の歌詞と日本語訳、それに葉さんの素敵な絵をじっくり味わうことができます。

YouTubeでこの曲を聴きながらページをめくっていたら胸がいっぱいになって涙が。。。

スコットランドという、自然環境が厳しい土地で、こういう哀しい・でも優しい歌が生まれたということが感慨深いです。

あとがきの、Messageで八木さんがおっしゃるように、大きな困難を乗り越える・・・人類には、渡らなくてはならない広い河がある・・・ということが今のコロナ禍の世界とも重なるような気がします。

そして個人的に、自分とも。

強く、勇気をもってこの広い河を渡って、新しい希望の世界にたどり着きたい。

 

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