東大野球部の優勝を応援する会

東京大学硬式野球部の優勝を願い応援するファンのブログ

人気の門田隆将氏が描く東大野球部物語「敗れても敗れてもー東大野球部百年の奮戦」中央公論新社刊

2021-04-05 05:19:12 | 日記
私が、東大野球部ファンになったのは、今から約50年前の高校生時代からだったと思う。従兄に一人、東大卒が居るだけで私自身は、東大に縁もゆかりもない。

ファンになってから神宮球場へ通うようになった。それから15年位、熱心に応援し出来た当時の野球部公認ファンクラブ「東大を優勝させよう会」にも入った。 その後、30代前半から病気を患ったり仕事が忙しくなったりで、神宮へ通う機会は無くなったが新聞や、雑誌、当時、放映していたテレビなどで東大野球部を応援していた。

定年後、当時の東大のエース宮台の活躍に触発されて神宮通いを再開、東大球場のオープン戦も観戦するようになった。「東大を優勝させよう会」にも再入会。

その私にとって、この本は読まなければいけない本だと感じた。そして、即、注文、一気に読んだ。面白かった。

東大野球部出身者は、野球界のみならず、政財官界など多方面で活躍している。その中でも、太平洋戦争、敗戦間際、沖縄県知事に任ぜられた野球部OB、島田叡(しまだあきら)氏の事に著者が興味を持ったことが、この作品を書こうと思った、きっかけだそうだ。

今でも、沖縄で英雄として語り継がれている島田氏の事から彼が在籍した東大野球部の歴史に触れてゆく。特に私がリアルタイムで見た、伝説の名投手、岡村甫氏の監督時代から赤門旋風、そして、宮台の登場による紆余曲折の末の昨秋の勝ち点奪取まで、非常に面白かった。

単行本の帯に書かれているキャッチコピーである、4年間80連敗のまま卒部した副将は、そう呻いた。「魂が神宮球場から離れない」。この気持ちは、痛いほどわかる。

全国強豪高校野球選手選抜チームともいうべき他の5大学に本来のアマチュア大学球児が挑むという図式に惹かれて見続けて居るが、今風に言うならば「江川卓世代」の私にとって、生観戦で、江川に6大学初の黒星を付け、初本塁打を放ったのが東大であり、それが東大ファンを辞められなくなった理由の一つ。

その江川世代の記述がないのが、唯一、残念。とはいえ、東大野球部ファンのみならず、「ノブレスオブリージュ」とは、何かということまで考えさせられるお薦めの1冊だ。