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石の民「君は星星の船」 第28回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■ 石の民(1989年作品)■
■ 第5章 アルナ
『死せるものの船』の中で ミニヨンAは目覚めた。
「私はなぜここに」ミニヨンAは台の上に寝かされていた。
ミニヨンAのまわりには、多数の人々が集まっていた。
人々は灰色のボロギレをまとい、顔も覆面でかくしている。
独特の雰囲気がある。不思議な事に話し声が聞こえてこない。
その静けさの中、急に声がした。
「死せるものの船へようこそ」
ミニヨンAはその声の方向を向く。女がひとりいた。隣にいる男が覆面を脱ぐ。大吾だつた。
「ここはどこなの」ミニヨンAは尋ねる。
「いったでしょう、『死せるものの船』だと、我々『死せるものの船』は青き空間の中をとんでいる」女が答える。
「私はなぜ、ここに」
「おまえはこの石棺とともに運ばれて来たのだ」復興ドームのVグループ登の下にいた大吾がいった。そこには爆破されたはずの石棺がる。
「石棺と」ミニヨンAがいぶかしげに尋ねた。
「そうよ、この大吾は、私がこの石棺を回収させるために、復興ドームのVグループに遣わしたのよ」
「あなたはだれなの。あなたの声は聞いたことがある」
「そのはずよ。あなたの心を育てたのはこの私だもの。
私はこの『死せるものの船』を率いる女王アルナよ、
また、石の民も率いている。
お前の樹里、石の壁にいた「石の男」ムリムは、私が追放した。私アルナと石の男ムリムは争っていた」
「石の男ムリムを、何のために」
「この『死せるものの船』の船の行き先について、私と彼は意見をことにしていた」アルナは続けた。
「意見が異なるだけで、彼を追放したの」
女王アルナの体を、はっきりとミニヨンAは見ることができなかった。
女王はなぜか泣いているように見えた。
7色の光を放ち、その光が強すぎるのだろう。その輪郭をはっきりつかむことができないのだ。
■女王アルナは、その時のことを思い出していた。
「アルナ、君がなぜ、私を」
「ムリム、この石の民を守るためよ」
「そのために、この私を追放しようというのか」
「私は義務として、あなたを追放しなけけばならない。双子のようなあなたと私。でも私はあなたよりこの船と石の民をとります」
「アルナ、君はあとで後悔することになる。とりかえしのつかない事をしたってな」
ムリムと仲間を乗せた補助艇は青き大地の中へ送り出されていった。
アルナは自分の構成因子を種子として、この補助艇に吹き込んでいた。
彼、ムリムはひょっとして、自分たちの世界を作るかもしれない。
その時は、私の種子たちが、それを知らせてくれるでしょう。
ムリムを追放してしばらくした時、突然、船に爆発が起こった。
「アルナ、大変です。聖砲と石棺が消えています」石の民の一人が報告した。
「まさか、ムリムが」アルナは驚きの声をあげた。
「どうやら、そのようです。おまけに、ムリムの同調者もこの船に残っている様です」
「その同調者をさがしなさい。そしてムリムたちおを追跡しなさい。大吾、石棺を取り戻してきなさい」
「わかいました。アルナ」
「石棺をみつけたら、連絡しなさい。あなたをすくいあげます」
石の民 第28回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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