新人類戦記 第三章 聖域 第20回
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
■ビサゴス共和国 アコンカグワ山山麓 プクラの森の中
アメリカ超能力戦士部隊、カイザー部隊の第2師団長、デューク島井は、一歩、また一歩着実に、アコンカグワ山を登り始めていた。プクラの森の中である。
他のカイザー部隊各隊員とは、もはや例の連絡もつかなかった。輸送機が消滅させられた事といい、隊員、お互いのテレパシーがきかない事といい、鳥井は、この山アコンカグワの持つ霊力が思っていた以上
である事を認めていた。
あらゆる妨害を切り進み、島井は遥んで行こうとする。何らかの力が彼が進むのをはば
んでいる。
それは祷神中に吹きあれる嵐であった。
彼の眼に、不思議な民族衣裳をつけた一団が映っていた。そいつらがこの霊力。の原因らしいのだ。
恐ろしい力を侍つ碗が背後から急にのびて。島井をつかんだ。
島井は持ち上げられると同時に足をスイングし、相手の両殲と思われる所へ足げりをくらわす。両眼がつぶれる。巨大なゴリラであった。
手負いのゴリラは鳥井の首をしめにかかる。島井は手刀を年動力をこめて振りおろした。手刀は、ゴリラの両腕の骨を粉砕し、ひきちぎる。
さらに島井は瞰かに背後から手刀をくらわす。首の皮一枚残し、それは前向きにドウと倒れた。
息つくひまなく、数十本のヤリが島井めがけ、飛来してくる。島井はゴリラの体を念頭
刀で持上げようとする。
が数本は必いあまりゴリラの体を突き破り、島井の体に達した。
島片は何とか、やりを引き抜く。
体から血が流れ出ている。
さらに、島井の前に、美しい原色の蝶の群れが乱舞していた。
幻聴か。幻覚か。
蝶々の群れに体がうずもれそうだ。りん粉で、幻覚症状がおこりそうになる。
島井は、自らのハンティング=ナイフを抜き、太ももに突き刺し、えぐった。痛みは激
しく、かろうじて。正気をとり戻す。
目の前に奇妙な一団がうずくまっているのが見えてきた。
イアテ族の恩念集団だ。
島井一人が、ここまで、プクラの森の中心部まで辿り着く事ができたのだ。
島井に気がついた彼らは急に立ち上がり、指先を島井の方へゆっくりと向けた。
恐るべき精神衝撃波が、鳥井の心を襲う。
だめだ。あらかう事もできない。
今までのあらめる危碗を切り抜けてきた鳥井にとって始めて敗北感を味わった。
彼は意識を失なった。
イアテ族の一団は鳥井の体を倖ち上げ、イアテ族が場所を把握している古代都市洞窟へと向かう。
新人類戦記 第三章 聖域 第20回
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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