その腕もて闇を払え第2回
(1980年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
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「ちえっ、あんたか、クーガル。コーヘソ財閥のおべっか使いめ」
「そのムダロもこれまでだな」
クーガルと呼ばれた男達のチーフは、となりの男に合図し
た。重反動砲が.クロス・クライストの方を向き。引き金に手がかかった。
「約束が違うわ!」女が叫ぶ。急に女は重反動砲を持つ男に飛び。つき、発射を阻止しよう
とする。
が重反動砲は発射されてしまう。クロス・クライストは身を大地に投げ、ロケット弾から逃がれる。
女が倒れていた。重反動砲の射出孔からの挑出薬莱が彼女の胸を撃ったのだ。心臓を直
撃していた。
「お嬢さん、ジャネットお嬢さん、しっかりして下さい。お前らはクロス・クライストを殺せ」
イグルーのまわりを囲んでいた男達はすべて、クロス・クライストに向かい重反動砲を発射する。
閃光がまわりを被う。が火星嵐はいよいよ猛威をふるい、数m先もみえない。
「逃がすな」クーガルは声を荒げて言った。
「お嬢さん、ちくしょう何んて事だ」
彼女ジャネット=コーヘンはすでに絶命してにいた。
宇宙服の一部が破れている。彼女の死に顔は美しかった。近くで子供が泣いている。クーガルのインターカムにはその泣声はうつろに響いている。
「俺はコーヘンさんになんてあやまればいいのだ」
クーガルはひざを曲げ、両手を火星の大地についていた。
火星嵐がすべてを洗い流すように吹き荒れている。
■2070年、3月、地球アメリカ大陸B地区の阻星は何の変哲もないもののはずだっ
た。
近くの人々は落下時の大きな音と光に驚いた。振動が後から襲ってきた。森林地帯であ
り、人家は・密集してらないのが教いだった。普通、阻星は地表に落下する以前に燃え尽きて
しまうものだが。
人々は山火事を心配して、ランドクルザー型エアーカーで落下点へ向かっている。
森林監視官グランベルもその一人であった。
彼は久しぶりのあたたかい家の団槃から冷たい外へ連れ出されたことに怒りを覚え、車を
走らせている。
先刻までの三次元ポーカーはかなり、イイ線までいっていたのに。いつも負けてぱかり
いる毛皮商人のにジーツクからかなり巻き上げていた。それがこの騒ぎだ。一週間に一度の楽
しみをじゃままされたグランベルは強引にランクルエアーカーを吹飛はしていた。
最近このB地区に建設された施設、確かRM計画の施設と呼ばれていたが、そのせいか
もしれないとグーフンベルは思った、異常な事が最近、富にこのB地区に起っていた。
遥か地平線の方に光るものがあった。
どうやら限石のようだ。
グランベルの目の前に突如、光り輝く小山が出現していた。‘熱い。
まわりの樹木はすでに燃え尽き。灰になっている。しかしどうやら山火事にはいたっ
ていない。グラソヘルは車を近づけた。熱さが車にいても。グランベルの皮膚を散り散り
と焦がす。車から降りた。
それはまるで悪魔の生き物のようにグランベルの前にそびえ立っている。高さはゆうに
20mは越すだろう。
熱さに鍛えて、ゆっく勺とグランベルは近づいて行く。
突然、その山が動いたように見えた。それがグランベルの最後の知覚現象であった。
その光忙は、地球の歴史を変え始めるIページにすぎなかったのだ。
■2071年、10月、地球、ニューヨーク。カーゴースポートZ27。
外宇宙から帰ってきた宇宙船が林立している。といってもオンボロな荷物船ばかりだ。
ここは大宇宙空港の片隅である。
男がかえって来ていた。
その腕もて闇を払え第2回
(1980年)「もり」発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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