遙かなる絆-ランナー第4回●
地球防衛機構(EDO)シリーズ
飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第4回
2066年、4月。
地球連邦最大の精神界の大御所、マニ導師が、彼の付き人数人と一緒にカイロ病院の特別病棟を訪れていた。
導師はマコトの様子を近くにいる医者に尋ねた。
医者は恐れいって答えた。
「今年でもう十年になるでしょうか。彼はエスパー研究所の事故いらい目ざめていないのです」
「わかりました。私が目ざめさせましょう。時が満ちているのです」
マニ導師は、マコトの眠っている特別ユニットベットのそばで静かに祈り始めた。
祈りを始めて二十分たっただろうか。
マコトの生体反応を示すモニターに変化がおこった。彼は覚醒し始めたのだ。
目が聞かれた。しばらく、あたりを見回していたが、マコトはベットからむっくりと体を起こした。
目の前で祈っているマニ導師に気づき、導師の方にそろそろ手を伸ばした。
マニ導師の体に、手がふれた瞬間、導師の体は消失した。
叫びが病室に満ちた。
しかし、不思庫なことにマニ導師の声が部屋に響きわたっていた。
「聖火はともされた」
マコトは、先ほどまでマニ導師のいた場所にうずくまっていた。
「マニ導師、使命は必ず果たします」
彼は涙を流していた。
まわりの人々は、何かおこったのか、まったく理解できなかった。
マコトはマニ導師の付き人達に向かっていった。
「ボクは、導師のなくなられる瞬間、彼の意志をひきつぎました。
マニ導師は言われました。月にあるルナ=シティヘ行き、そこでサイコセラフィーを受けよと。僕はその言葉にしたがいます」
「わかりました。それがマニ導師の遺志なのですね。早速、手配いたしましょう」
付き人のー人がいった。
マコトは空に面を向けた。
他の人には見えなかったが、マニ導師の姿はマコトには見えた。導師は霊魂として存在していた。
マコトは、ルナ=シティヘ向かうため、南極ステーションヘ向かった。
月の旅には、そこ南極ステーションからシャフト と呼ばれる軌道鉄道が、地球と結ばれている。
マニ導師か、地球の地下組織「死の天使」(フイダイ)の指導者でもあったことはEDOを除いてあまり知られていない。
さらに。死の天使が、マニ導師が、1256年、ペルシャ、アラムート城からタイムジャンプし、連れてきたアサシン(暗殺者集団)だとは誰も気づいていなかった。
導師は、新しき世界の建設のために、この世界を徹底的に破壊せよと、アサシンに命じたのであった。
2017年、カイロのエスパー研究所の爆発事故も、「選民のための儀式」だったのだ。
新しき世界のための犠牲はやむをえないというのが、死の天使の思想だったのである。
マニ導師の最期は、世界のマスコミに流された。
彼の最後の言葉は疑問符をつけて報道されていた。
「聖火はともされた』この言葉の解釈について数多くの宗教学者が苦しんでいた。
このデータはEDO(地球防衛機構)の情報悩にインプットされた。
データは処理され、EDO長官のデスクに提出された。
このデータを見たオットーは指令をだした。
「至急、サムナーを呼びだし、月行きのシャトルトレインに乗るように命令するんだ」
(続く)
遙かなる絆-ランナー第4回●20210323改訂
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