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夢王たちの宴■第30回■最終回相対する国家陣営が、お互いにドラッグミサイルを発射し続けた。現実世界が滅び、各人の夢世界が同時並列で存在する。これはジェイの希望であったが。

2021年03月26日 | 夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー
夢結社シリーズYK夢王たちの饗宴--ドラッグウォーの跡でー(麻薬戦争の跡)夢世界の入り組んだ異世界、最高のドリームマスター夢王は、だれなのか? なぜ、この世界はできたのか?
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夢王たちの宴■第30回■最終回相対する国家陣営が、お互いにドラッグミサイルを発射し続けた。現実世界が滅び、各人の夢世界が同時並列で存在する。これはジェイの希望であったが。
 

夢王たちの宴ードラッグ戦争の痕でー■第30回■■最終回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第30回■

■ジェイポラードの夢世界■

 

Kは、光の草原の中に立っていた。

 

光の草原には「光粒子」が振り注いでいる。ゆっくりとゆっくりと、光の草原は光粒子がたま

り光り始た。

 

光粒の一位、その中にジェイの意識は、凝縮されて、草原の中にころがている。

 

他の人々の意識世界も、光粒子の一粒なのだ、

 

総ての光粒子が、一つ一つの意識世界だった。

 

同じように凝縮されている。

 

「大戦役」は実はドラッグウォーだった。

 

 

「夢戦争」、あるいは「幻想戦争」と呼んだらいいのだろうか。

 

 

相対する国家陣営が、お互いにドラッグミサイルを発射し続けたのだ。

 

 

その中で一番強列だったのが、ジェイ・ポラードが精製したJP359だった。

 

 

個人の妄想、幻想が解放され、個々人だけの幻想世界、夢世界が、地球上に実在化された。

 

多くの人々が、より強い妄想力を持つ人間の世界にとじこめられていったのだ

。 

 

「ゴルゴダシティ」は、ポーランド軍クネコバ・スプローキン大佐の妄想世界の中であった。

 

ジェイ・ポラードの意識は、ビブラフォーンに化していたアイラの意識と合体した。

 

そして、二人の意図によって、JP359が全て、隠し場所から全ての幻一想世界へと拡がったのだ。

 

 各々、個人の夢世界が存在するようになったのだ。

 

ジェイの意識は、この多重夢世界のドラッグ・ジャンパーになってしまったようだ。

 

つまり、ジェイの意識は、他人の夢世界から他人の夢世界へと、次々とトリップ

 

してゆき、ジェイの意識を他の夢世界の構成要素として刷り込んでいく。

 

やがて、ジェイの意識を中心軸として、一つのまとまった幻想世界ができるかもしれなかった。

 

それはいつだろう。

 

が、時間の観念もまた、幻想世界ではあいまいな基準にしかすぎない。

 

あるいはまたジェイの存在自体が、誰かの幻想世界の中の一構成要素かもしれなかった。

 

ジェイは、いいしれぬ巨大な暗渠にいる感じがする。

 

Kは、光粒子を、せっせと、かき集め始めていた。ちいさな籠にいれる。

 

この世界では、Kの種族しか、光粒子を集められない。

 

光粒子は、すぐに輝きを失なってしまう。

 

Kは集めた光粒子を、小高い丘の上にあるクリスタルパレスヘと、運こぶ。

 

 

火が飛んできた。地獄犬が、Kの方へ火を吹きかけているのだ。

 

 

「ウルー おやめ!」

 

 鋭どい女の声がする。

 

そのしっかりした鋭い声には似合わず、きゃしゃな体を持つ細面の微笑する少女が、地獄犬を押さつけた。

 

 地獄犬は、クリスタルパレスのまわりに放し飼いにされているのだ。

 

クリスタルパレスの主人は、変人だといううわさだったが、Kの集める光粒子を高く買ってくれる。

 

それだけでKは充分だった。

 

 クリスタルパレスの中、一番大きな「輝きの間」には、全盲の少年が、椅子にすわっていた。

 

「アイラ、どうかしたのかね」

 

「いいえ、ジェイ、なんでもないの。ただ、地獄犬が、光粒子を集めて来てくれた人にほえただけなの」

 

 

「そうか、だれもケガはしなかったろうね」

 

「そうよ、ジェイ・ポラード」

 

「そう、それじゃいいよ。君こちらへ来て」

 

 この世界のジェイ・ポラードは、この世界のアイラの手をにぎる。

 

 二人の前には、パソコンのキーボードとモニターがあった。

 

ポラードは、盲目なのだが、モニターにキーボードで何かを写し出している。

 

「ねえ、ポラード、次の光粒子を写してみて、どんな世界なのかしら、楽しみだわ」

 

光粒子は、1つの夢世界なのだ。

 

「そう。また、僕が登坂するだろう。今度はどんな役割かな」

 

「そうね、それが私にとって一番楽しいの」

 

「僕は夢王、キング・オブ・ドリームだ。そして君は」

 

「クイーンーオブ・ドリームよ。むろん」

 

「我々は、他人の夢世界のすべてをのぞくことができるのね」

 

「そうさ、アイラ」

 

その二人の楽しそうな姿を、Kは見ていた。

 

今日はたくさんのお金をもらえた。明日はもっと光粒子を集めてこようと、Kは思った。

 

ひょっとして、Kとは、クネコバ・スプローギンの意識かもしれなかった。

 

ジェイとアイラは、いつも光粒子を通じて他の夢世界を見ることができる。

 

光粒子の中の、一人一人の夢幻世界を。

 

モニターを前にしているポラードのかたわらで、アイラは実体化できた、自分自身ではない「ビブラフ

ォン」をひき始めた。

 

曲は『ハルフォードの稲妻』だった。

 

ボラードは目は見えないが、モニターを感じていた。

 

そのモニターには、多くの蝶たちが翔んでいた。この乱舞する蝶たちはどこの空間を翔んでいろのだろう

 

ジェイはその蝶になっている自分を発見する。

 

彼は、どうやら自分が新しい宇宙空間創造の種子の中を翔んでいろと感じていた。

 

新しい記憶。どうやら今度は彼こそ、新しい宇宙鎖造の起爆剤らしい。

 

クリスタルパレスに上から、ゆっくりと、光の粒子が降り注いでいく。

 

Kはそれを見上げた。

 

ジェイが作った夢結社の人々の夢想世界ができていた。

 

この責任は、どこにある?

 

そう、ジュイ・ポラード博士だ。彼の夢世界。あるいは、ジュイ・ポラードを滅ぼせねば

 

自分の夢世界を滅ぼすかもしれない。それぞれの人々は、ジュイ・ポラードの夢世界を

 

探り当て、彼を亡き者にしょうと画策し、刺客を送りこもうとする。

 

●完 20200501改稿

山田企画事務所

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