私の中の彼へ-青き騎士 第12回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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第12回●シーン9
「あれが、ハノ将軍閣下だよ」
となりにいるゲイターが、小さな声で私に言った。
連邦軍最高司令部に、私は来ているのだ。
まるで場違いな私だった。
連邦軍最高司令部オペレーションルームには、主だった全部隊の指揮官たちが集められていた。
皆の視線が、部屋にはいってきた新参者、私とゲイターに集中した。
「役者はそろったようだね。諸君」
連邦軍最高司令官ハノ将軍が言った。
追従の哄笑が小さくおこる。
「残念だが、我々は現在、おいつめられている」
手身近に言う。それがものすごく現実味を帯びていた。
我我、人類の終わりなのか。部屋にいる全員が思ったろう。
「要約すれぱ、そういう事になる」
ハノ将軍がハノ将軍の言葉にかえす言葉もない。そんな感じだ。
「それゆえ、最後の決戦をいどむ事になった」
ようやく、どよめきの声があがりはじめていた。
追いつめられている感じが、全将兵にピンとはりつめた感じを与えていた。
「我々が今から慣行する作戦は特攻作戦である。現在、我々はすべてのモニターバードをとばして、「アイス」のトラッブドアの位置を確定している。それゆえ、全将兵かこのトラップドアから一斉に突入してもらう。同時に、別の隊は正面から攻撃をかける。
くりかえす、全勢力を攻撃にあてる。我我は最期のどたん場まておいつめられている。わが連邦軍の持てる全勢力をもって、攻撃にあてる」
「おわかりだろう、沙織、そういう事なのだ」
ゲイターが、そばで、小さな声で私にささやく。
「私の立場がわからないわ」
「課外学習は終わり、ローズバッドでの能力を、君とローズグループ残存勢力が協力を要請されている。これはいわば、卒業試験だ。もう後はない。君たち、ローズバッド、ローズグループもね。いや、人類自身が将来がないのだ。我我、特攻隊に参加してほしい。というより参加しろという命令だ」
「いやと言ったら」
「君はそうはいえないはずだ。後ろを見てごらん」
一人の男が立っていた。
翔だった。
「翔、生きていたの」
私は、体が震えた。それがあきらかに他人にわかる。でも、それは
どうでもいいことだった。翔が生きていてさえくれば。それがすべてだ。
「ああ」
彼は、まだ青白く元気ではないのがわかる。たっているのがやっとの感じなのだ。
「見てのとおり、彼はまだ完全ではなぃ。だから、装甲機「零」に、君達はあいのりで特攻してもらう」
「なんですって」
「単座式の装甲機「零」は、改造中だ。「零ー改」は君たちの道行きのためにね」
「2人で、「零」乗り込むのだ」
「つまり、翔は私の監視役というわけね」
「いや、君、沙織が、翔と零の見張り役だ」
翔の表情は変わらない。
薬が効いているのか、うつろである。
「それに、俺の能力を、君のアイスブレッドの力で、おぎなってほしいわけだ」
翔がつけくわえた、
「アイスブレッドですって、それはどういう意味」
「言葉とおりさ」
「おいおい、喧嘩は後で、生き残った後でしていただきたい。ここは
中央司令室。地球軍の中心だ。そこで怒りを発するな」
そして、ちいさくつぶやく。
(これで最期だから)
ゲイターにやりと笑い、つぶやく。
「それは。どういう意味?」
ゲイターは答えず、
こちらを振り返らず、小さく手を振りながら、ドアから消えた。
2029年1月9日、全軍がトラップドアから突入する。
アイスパレスは、装甲機でうまる。
しかし、アイスパレスには、「アイスの本体」がなかったのだ。
正面攻撃をしかけた連邦軍も、てもちぶさたで、おざなりの反撃しかなかった、
瞬時、そして、ゲイターの期待とうりの最期がやって来た。
地球全連邦軍が壊滅したのだ。
(続く)
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