デュエット(二重走)第13回最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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氷船ザイード号艦橋にアラマド大臣が、従者4名にかつがれたベッドて現われた。
四郎がたづねる
「アラマド大臣、あなたはもう大丈夫なのですか」
「いやいや、、私アラマドも長くない。、、もうすぐハーリマッド王子殿下の後を追います」
アラマドは少しづつ言葉を継いだ。
「アラーにめされる、、その前に、、皆に真実を、、伝えておきたいのです」
「真実」
アラマドの言葉に、皆、耳をかたむける。
「よろしいですか、この四郎様は、ハーリマッド王子殿下の本当の弟君なのです」
「何ですって」驚きの声があがる。
「双子の王子を王妃はお生みになったのです。、、。しがし1人は私の手で
日本の王妃の親戚に預けられた。、、、が敵により、誘拐されて行方不明となっていました。日本政府の協力を得て、、、、ようやくわが国情報部があなたを発見できたのです。名前はジャド王子。、、それがあなたの御本名なのです。、、、あなたは本当に正当なるヤスラー王国の王子なの、、です。皆、この方ジャド王子のいう事を聞くように。、、王子として御命令に従うのだ」
これだけ言い終ると、苦し気に、ベッドの上のアラマドは一度目を閉じた。
「その話は本当なのですか」
超能力を使い切って体の力をいま失なっている四郎は、アラマドの側までにじりよって尋ねた。
「、、本当のことです」
アラマドは再び、目を開ける。
「ヤスラー王国でも、わずかな者しかこの事実を知らないのです。、、ハーリマッド王子殿下の影武者になってくださいとお頼みしたのは、、、ジャド王子様、、、あなた様の人格を調べるためだったのです。、、、いずれ、御兄弟である事を、お二人にあかすつもりでは
いたのです、、」
「では、ハーリマッド王子はこの事を」
「加存知ではありませんでした」
「兄殿下!」
四郎いや、ジャド王子は兄ハーリマッド王子のなきがらを抱き、再び泣き始める。
アラマド大臣も静かに目を閉じた。そして再び目が開かれる頃はなかった。
シンベル少佐が、ジャド王子をだき起こす。
「我々は、ハーリマッド王子殿下の弟君、あなたジャド王子に忠誠を誓います」
「わかったシンベル少佐」
四郎はそう言って、体力を使い切って意識を失なった。
■ヤスラー王国海軍の海上哨戒挺が、近づいてきた。
世界中の新聞、。テレビに、ハーリマッド王子のビッグ=プロジェ
クトが、多大な犠牲を払い、成功を収めたことが報じられた。
氷山ザイード号は、ヤスラー王国に純水を供給した。
そして、宇宙からの球体は秘密裡に、首都マハドにある特別研究所に運びこまれ
、ヤスラー王国軍に守られつつ、解読が進められている。
ハーリマッド王子は正式にザイード王から王位継承を認められた。
ソ連と結託しようとしていた二人の王子は、反逆者として、民衆の
前で、斬首された。
ハーリマッド王子こと、四郎は、ヤスラー王国王宮のベッドに横たわりながら、
1カ月前の出来眼は夢ではなかったと思い始めていた。
あの日本の東京ですごした日々。
あるいは、今の自分が、あの東京の安アパートの一室での夢では
ないをと思った。
しかし、いずれにしても、この悪夢はまだまだ続くだろう。いや
醒めることはないだろう。
彼、白神四郎、ジャド王子は、地球文明を打ちくだく事ができるかもしれない、
大いなる剣、宇宙から飛来したものを手にしているのだから。
その力の発揮の話は、それはまた、別の話となる。
完
デュエット(二重走)第13回 最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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