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源義経黄金伝説■第51回奥州平泉、高館屋敷の義経に、異形の者,。東大寺闇法師、十蔵が西行様からの書状を携えて現れる。

2021年10月05日 | 源義経黄金伝説
YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと
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源義経黄金伝説■第51回奥州平泉、高館屋敷の義経に、異形の者,。東大寺闇法師、十蔵が西行様からの書状を携えて現れる。
 

源義経黄金伝説■第51回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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 奥州平泉、高館屋敷で寝ている義経の枕元に、異形の者が現れていた。

義経は、気付いて起き上がり、とっさに刀を構える。

 

「何者だ」

 

「さすがでございますな。義経様、お静かに願います。私は東大寺闇法師、十

蔵にございます。ここに西行様からの書状を携えてございます」

 

十蔵は書状を差し出している。

 

「なに、西行殿の…。おう。お主は十蔵どのだな」

義経は、先年にあった十蔵の事を思い出し、書状をあらためる。

「西行様に、秀衡様からの密書届いております」

 

「秀衡様の密書、何ゆえに西行殿の手に」

「秀衡様のお子様たちのことを考えてのことでございましょう。西行様と京の

後白河法皇様。すでにご相談なさっておいでです」

「して、何と」

 

「義経様、この平泉で死んでいただきましょう」

十蔵は冷たく言い放った。

「何を申す」

 

義経は驚いている。

 

「よろしゅうございますか。鎌倉に、静様の和子様、生きておられます」

 加えて、驚くべきことを、十蔵はさりげなく言う。

 

「なに……、それは誠か。して男の子か」

 義経の驚きは、喜びに変わっている。

「はい、さようにございます。今は大江広元様が手の者が、育てております。

また、この事は、頼朝様はご存じではありません」

 

「大江殿が…。つまり、兄者が平泉を攻める時の人質という訳か」

 義経は考え込む。

「いえ、頼朝殿の策は、泰衡様に義経様を打たせるおつもり…」

 

「む、何と、兄者はなんと汚い策をお使いになるのか。それで、我が子はどう

いう策に使われるのだ」

「おそらくは、義経様を平泉の武士たちと団結し、頼朝殿に当たらせないがた

め…」

「さすれば、私はどう動けばよいのだ…」

義経は悩む。もうあの源平の戦ではないのだ。この平泉の義経は別人のごとくなのだ。

 

「私が、義経様の身代わりになって、この地にて果てさせていただきます。義

経様は平泉からお逃げ下され」

 十蔵は冷静に答える。義経が驚く番だった。

 

「何だと、私には縁のないお前が…代わりに討たれるだと、、」

 

「さようでございます。西行さまの命令でございます。十蔵のこの命、東大寺のもの。すでに闇法師となった段階ですてております。義経様はご存知あるまいが、私は源平の争いですべてを失っております。魂の抜け殻でございます。よろしゅうございますか、義経様。このときに乗じ、北、蝦夷へ落ち伸びてください。吉次殿が手の者が、お助けするでございましょう」

 

「重蔵殿、、」

義経は言葉がでてこない。

 

何ゆえにこの男は、私のために、、

そして、吉次殿が。

 

「吉次殿が、私を助け出すといわれるか……」

ようやく、言葉を発した。何かの感動が、義経の心をとらえている。

(続く)2012改訂

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