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ロボサムライ駆ける■第51回近畿新平野の中心が陥没、地下空洞から上空が。徳川空軍飛行船が降下してきていた。神聖ゲルマン帝国のバイオコプターに乗るロセンデール卿に、早乙女モンドが挑む。

2021年07月02日 | ロボサムライ駆ける
RSロボサムライ駆ける■「霊戦争」後、機械と自然が調和、人間とロボットが共生。日本・東京島「徳川公国」のロボット侍、早乙女主水が 日本制服をたくらむゲルマン帝国ロセンデールの野望を挫く戦いの記録。
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ロボサムライ駆ける■第51回近畿新平野の中心が陥没、地下空洞から上空が。徳川空軍飛行船が降下してきていた。神聖ゲルマン帝国のバイオコプターに乗るロセンデール卿に、早乙女モンドが挑む。
 

ロボサムライ駆ける■第51回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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■第七章 血闘場(1)

 

「だんな大丈夫ですかい」

 なつかしい声がロボサムライ早乙女主水の耳元に響いた

 「びゅんびゅんの鉄」が急にモンドの前に現れていた。

 

「ありゃ、徳川の殿様もおられる。これりゃ、殿様は誘拐されたんじゃなかったんですかい」

「今、解放されたのじゃ」徳川公が答える

 

 

「じゃ、あっしは、今から殿様を介抱カイホウしますってね」

 笑いをとろうとした鉄だったが、まわりの白い目に気付く。

そういう雰囲気ではない。

「おまえ、どうやってここへ」

 

「へへぇ、だんな、上空をご覧なさいよ」

 徳川空軍の飛行船が、主水の視界を占めていた。

地下空洞の天上部が抜けて、空が見える。

「おおっ、心強いぞ」

 

 徳川公国空軍飛行船「飛天」及び「高千穂」号が降下してきていた。

 

「この殿様がね、心配して後からこれで追えっておっしゃったんで。おまけにロボット旗本組も乗せてきやしたぜ。いやっ、殿様って先見の明がおありだ。が、敵に誘拐されちまってのがどうもね」

 

「もう、鉄さんたら、いいかげんにしなさい。ああっ、主水殿、大丈夫なの」

 モンドの奥方マリアも続いて降りてきた。主水の腕の中に飛び込んで来る。

 

 大きな空洞がこの地下古代都市のうえにうがかれていた。

「おお、あんな大きな穴がいつできたのじゃ」

 主水が抱き着くマリアに尋ねた。

 

「私達の方もびっくりしたわよ。急に近畿新平野の中心が陥没するのですもの」

 

「この飛行船のレーダーが、とらえやしてね。早速に駆け付けてきたってわけでさあ」

「ところで、ロセンデール卿はどこなのですか」

 マリアが尋ねた。彼女マリアの緑の瞳は復讐に燃えていた。マリアはロセンデール卿との因縁があるのだ。

 

「先刻、逃げ出しおったのじゃ」

 そういう二人の前に、上空に、神聖ゲルマン帝国のバイオコプターが現れている。背後には聖騎士団が続々と現れていた。

 

「主水君よ、我々は逃げた訳ではありませんよ。君たちが雁首をそろえて我々の手にかかるために、わざわざ、古代都市が現れるのを待っていたのですよ」

 

 バイオコプターから、ロセンデール卿の顔が見えた。

「ロセンデール卿、ひきょうだぞ。一対一の勝負だ。降りて来い」

 

「ふふん、モンド君。君たち日本のロボット風情に卑怯物と呼ばれるのも豪気ですね。その挑戦にのりましょう」

 

「よろしいですか。他の方は手出ししないでください」

 ロセンデール卿は同じバイオコプターにいるクルトフら家臣団に告げる。

 

「しかし、殿下、それは」

 クルトフが難色を示す。

 

「よろしいのです。私のいうようにしてください」

「もしか、お負けになれば……」

 

「ふふ、クルトフ君、君は何をいうのですか?

そんなわけがないでしょう、この実力気力十分な私が、こんな田舎の日本のロボットに負けるなんて。何をおっしゃているですか。気分でもお悪いわけですか?」

クルトフはほほを赤らめる。

 

「主水どの、大丈夫ですか」

 反乱ロボットの長、山本一貫が心配そうにいう。

 

「まかされよ、この舞台は、このロボサムライ徳川直参旗本、早乙女主水の一世一代の見せ場でござる」

 

 ロセンデール卿が、バイオコプターから降りて来た。

 

 が、シュトルフが率いる後続のバイオコプター部隊は攻撃の間をはかっている。

「クルトフ様、念には念を」

 シュトルフの声がクルトフに聞こえる。

 

「シュトルフ君、心強い言葉ですねえ。後詰めは頼みましたよ」

「お任せあれ。クルトフ様」

 

「主水よ、神殿の中に隠れている剣を取るのだ」

 足毛布アシモフ博士が叫んでいた。足毛布博士の表情が急変していた。

 

「よいか、主水。お前のICチップは特別に選ばれたロボットにしか使われないチップだ」

 

『そうか、足毛布博士。あやつが、早乙女主水が、我々の探している「運命の七柱」の一人のロボットなのか』

 急に心柱が足毛布博士に言葉を投げていた。

 

「そうです。みはしら様。あの主水が古来から伝わる伝説の石を、心に使ったロボットの一人なのです」

 足毛布博士が丁寧に答えた。

 

『そうならば、私めも手助けせねばなるまい』

心柱が言葉を続けた。

 

 神殿の床の真ん中から、棒のようなものが突出する。

「おおっ、あれは一体」

 人々が驚く。

 

(続く)

■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(1)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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