ロボサムライ駆ける■第52回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■第七章 血闘場(1-2)
「クサナギの剣じゃ。あれを持つ者は、歴史を変革できると言われておる」
落合レイモンが唸った。
「心柱があれを出現させよったか」
レイモンはしきりに感心している。
「クサナギの剣をつかうのは、ロボットでも構わぬのでございますか」
徳川公が、落合レイモンに心配そうに尋ねる。
「ロボット、人間の区別はない」
「主水、どうじゃ。あれを抜いて、ロセンデール卿と戦え」
徳川公廣が言う。
「が、お上、もし拙者に抜けますでしょうか」
ロボサムライ早乙女主水がたづねる。
「あの剣が出現せしこと、まさに、お主が選ばれし者という証拠よ」
祭壇の剣を主水は触ろうとした。逆に剣の方から近づく感じがした。
「これは一体…」
主水はその感覚に驚いてしまった。
ひょっとして私のICチップには、秘密が。
あの運命の七つの星とかいう、
意味不明の言葉が何を意味しているのか。剣にもう一度触ることが恐かった。
「さあ、もう一度、早く、刀を引き抜いてみよ、主水」
足毛布博士が呼びかけていた。
『俺からの心からの贈り物を、主水恐れることはない。そちが、『運命の七柱』の一人ならばな…』
ゆっくりと主水はクサナギの剣に触る。
手が剣に巻き込まれた。
そんな気がした。剣と主水の手が一体化していた。
ずぶりと、剣は祭壇から抜かれる。
その瞬間、剣からまばゆい光が射した。
「おう…」
ため息ともつかぬ声が見守る人々から漏れた。
主水はクサナギの剣を高々と持ち上げた。
主水の胸の真ん中がキラリと光った。
「早乙女主水、このクサナギの剣にて戦いもうす」
同じ時、知恵の胸にも同じようにキラリと光った。
「こ、これは…」
知恵は回りを見渡す。誰も気付いていないようだ。
「ワタシも運命の七柱の一人なんか…」
「いや、旦那の晴すがた、かっこいいねえ、ねえさん」
が、鉄がみた奥方マリアの眼は異常になっている。
マリアは黙ったままだった。
鉄は何かそら恐ろしいものを見た気になって、目をそらした。
このマリアの急なる変貌には、誰も気付いてはいない。
(続く)
■ロボサムライ駆ける■第七章 血闘場(1)
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