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新人類戦記第三章聖域第7回 ビサゴス共和国アコンカグア山にイデア号が竜とジウの2人の乗客を乗せて接近。その侵入を歓迎すべくアメリカとソビエトの超能力戦士部隊も、さらに解放戦線も集結しつつあった。

2021年03月02日 | 新人類戦記第3章
新人類戦記第3章聖域南西アフリカ、紛争地域ビサゴスを抜け、ジョバ川をさかのぼり、悪魔の山アコンカグワを目指す2人の姿があった。
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新人類戦記第三章聖域第7回 ビサゴス共和国アコンカグア山にイデア号が竜とジウの2人の乗客を乗せて接近。その侵入を歓迎すべくアメリカとソビエトの超能力戦士部隊も、さらに解放戦線も集結しつつあった。
 

新人類戦記 第三章 聖域 第7回

作 (198の年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 

■ビザゴス共和国国境付近、ジャバ川河船イデア号船上

 

 

フランス人の船長、ルイ・トルワイユとしてはイデア号の誰に

も陳と秀麗に対する殺意を洽こさせてはならない。

 

 しかし日本のエージェント桜井は、日本のアクション・サービスの一員であり裏切者であ

る東郷竜こと陳を抹殺しようと測っているに違いない。それが今イデア号に乗り込んでいる

中国人 陳と秀麗だと考えている。

 

 この船イデア号に乗り込んでいる船員の誰かが桜井の手下だ。それが問題

だ。ドルワイユは腕時計を見た。すでに夜中の12時をすぎている。

 

 黒い影が秘かに陳と秀麗の客室に近づいてづ

い配。ドアの外で内の様子を押し測っている

ようだ。物音一つ中からは聞こえてこない。

 

 

 影の男はナイフをとりだし、ドアを合い鍵

で開けた。男は一足、陳の部屋へ踏み入れた。

 彼は足音を忍ばせて、陳の枕もとに近づい

で、ナイフをかざしだ。

 「動くな」

 戸口にトルワイユがルガー拳銃を構えて立っていた。

 

男はナイフをトルワイユに投げつけた。

その瞬間、とび知きた陳が男にとびかかる。

トルワイユルワイユはナイフをよけ、男を撃とうとした

が、陳の体がじゃまになった・陳の手刀が侵入者の意識を失なわせていた。

 

 トルワイユは部屋の電気をつける。船員の1人、ラリだった。

 

「これはどういう事だね・トルワイユさん、夜中に寝首をかこうとする船員か。船室も安全では

ない。十二万ポンドの船賃をはらってこれかね」                  

 

「すまん、何しろ、三日でかき集めた連中だ。クズも混じっている」 

 

「まあ、助けにきてくれたわけだから、強くはいえん。トルワイユ、あんたは信用してお                  

こう。船長も同じ穴のムジナでない事をいのる」

 

トルワイユはラリの肩を持ち、陳の部屋からひきずりだした。部屋を出る時、トルワイな 

ユは、一瞬な秀麗の顔を見た。彼女は脅えていた。

 

 

 トルワイユは船倉にラリをひきずりこみ、平手打ちをぐちわせた。意識をとりもどし

たラリの首すじにトルワイユのルガー拳銃が押しつけられている。

 

「お前は日本人の桜木に頼まれたのか」

「桜木? 誰だ。知らん」

「嘘をつくな」

 

 トルワイユは銃でラリの顔をなぐりつける。

ラリの顔が割れて血が吹きだした。

 

「本当だ。桜木という奴は知らん。信じてくれ」

「それなら、お前はなぜ陳の部屋へ入ろうとした?」

 

「十二万ポンドの札束のつまったカバーだ」

「それが目的だと」

 

「そうだ。もちろん、陳が騒げば殺すつもりだ」      ` 

 トルワイユのしわだらけの顔がラリをじっとにらみつけている。

 

「許してくれ。俺を船から降してくれ」  

「わかった。出ろ」 

 

「ゆ、許してくれるのかね」

「ああ、船から川へ飛び込め」 

「あ、ありがたい。恩に着るぜ、船長」

「その換り、俺の前に二度とそのつらを見せるなよ」

 「もちろんだ」

 ラリは足もとをふらつかせ、あわてて船倉

を出て船べりへ急いだ。トルワイユも後に従

かっている。 

               ’・

「トルワイユ船長、それじゃ」            

 ラリは川へ飛びこもうと。夜の川へ向

かいトルワイユヘ背中を向けた瞬間、トルワイユ

がラリの後頭部をなぐる。

 

 「うわっ」                 

 ラリは悲鳴をあげ、仰向けにジョバ川へ倒

れ込んだ。

 月光に光るzyバジョバ川にラリは消えた。

 トルワイユはしばらくの間、川をながめていた。ラリは浮び上ってこない。

 

ラリが日本政府、桜木のエージェントだった、トルワイユはCIAのアランに報告するために、無電室に向かった。

 

気になる事が多い。陳はプロでない。彼の枕元にくるまでラリに本当に気が

ついていない。秀麗は怯えている。

 

ラリが殺意を持ったならば彼女、本名ジウの殺人精神波がラリを襲っていたはずだ。

 

彼らは竜とジウだろうか。確かに桜木から渡された顔写真には一致しているが。

 

 船の無電室のドアを開けたトルワイユは衝撃を受ける。無電機が完膚なまでに破壊。

一体誰が。トルワイユは陳の顔を思い浮かべる。

 

 トルワイユに、いわゆる虫の知らせが働いた。

「皆、起きろ、起きるんだ」

 残りの船員が船室のハンモックから飛び出る。

「ボス、一体何です」

「全員、機関室、その他船内をくまなく調べろ」

 

「何を探すんです」

「異様なものを捜せ。調べろ。何か異常があったら

俺に知らせろ」

 船員達は、文句をいいながら、船内を調べ始めた。

数分後、ファイが大声をあげて、機関室から叫んだ。

「どうしたんだ」

 

「ボス、ここを見てく尤さい」

 プロペラなジャフトの部分に小さな黒い箱

が。功妙に隠蔽されている。

「これは何かが、、」

「静かにしろ、たぶん爆弾だ」

時計は、爆発時間までわずかの時間しかない。

 

トルワイユはナイフをとりだし、すばやく

爆弾をシャフトからはぎ取った。

 

爆弾を手にかかえデッキに走りあがる。老人とは思えない身

のこなしだ。

 

トルワイユは力一杯、船尾からジョバ川めがけ投げた。

 

 しばらくして河の中心部で爆発が訟こった。

閃光と轟音と、水しぶきがイデア号を襲った。

 

 トルワイユは息をはずませ、冷や汗を流し、かろうじて立っていた。

 

残りの船員達がかけあがってきた。

「ボス、これはどう、、」

「誰かが、この船を破壊しようとしているんだ」

 

チャウが、皆を見渡し、叫んだ。

「船長、大変だ。ラリの姿が見えない」

 

「わかっている。俺が殺した」

「何だって」           

「皆、聞け、ラリは客人、陳と秀麗を襲おうとした。

お前らも、客を襲うとすれば同じ目にあうぞ。わかったな」

 

 皆、だまる。

 「今度は、私達を喜ばせるための大きな花火かね」

 上部デッキから声が聞こえた。陳だった。

 

 「ムッシュ・トルワイユ、それにしても騒

がしい船だね、このイデア号は。安眠できな

いよ」

 陳はそう言うと部屋にひっ込んだ。

 

 トルワイユは途方にくれる。無電機は

直りそうにない。アランと連絡の方法がない

それにもうすぐビサゴス共和国の国境線をこえる。

 

 

■英領ポートモレスビー、ホテル・リッチモンド、アランの

部屋。

 

 ホテル・リッチモンドのアランの部屋の電話がなる。アランはトルワイユに

無電連絡をした所だった。

 

 電話をとる。リフからだった。リフはあわてていた。

 「アランさん。わかりましたよ。例の積荷がね。ある情報提供者をつかまえましたよ」

 

 「その男を連れて来てくれ」

 「いや、それはまずいです。すいませんが、

アランさん、下町のバー・ポセイドンまで来ていただけませんか」

 「よし、わかった。三十分後に会おう。

 

 ダブル・エージェントのリフの話は、恐らく日本の船クリスチャン号が積んでいる原爆

の一件だろう。とアランは踏んだ。

 

 日本政府は韓国にダミー商事会社、東洋商事を作り、武器輸出にのりだそうとしている。

その原爆積み込みについて知っている人聞かいるというのだ。

 

CIAのアランは、高級なホテル・リッチモンドから下

町のバー・ポセンドンへと向かった。

 

 夜空にけばけばしい看板が輝き、騒音が響

いていた。バー・ポセイドンの中はそれに加えて安酒と汚物のに

かいがしていた。金を求める人間のにおいも。

 

 リフが待っていた。リフは1人だった。

 「リフ、どういう事だ」

 アジア人のリフの表情はアランには読みとりにくい。

 

 「落ちついて下さい。こんな場所で情報提供

者に会わせるわけにはいきません」

 

 リフは自分の車、ジトロエン・2CVにアラ

ンを同乗させた。

 

 後からつけてぐる車にアランが気がついた

のはバーを出て、四、五分たった時だった。

 

 「リフ、誰かにつけられているぞ」

 

 リフは急ブレなキをふんだ。シトEエン2

CVの両側に付けてきた二台の車が挾むよう

に止まった。

 

 「リフ、これはどういう事だ」

「静かにして下さい。アランさん」

 リフはアランの体にリボルバーを押しつけ

ていた。

「リフ、きさま」

「残念ですね。アランさん。私はKGBの者

です。現在はピサゴス解放戦線にも関係して

います。さあ、カイザー部隊について教えて

もらいましようか」

 

「カイザー部隊? 何の事だ」

 車から降りてきた男達は車の両側にカラシ

コフAK47突撃銃を構えて立っている。

 

「あなたは、二日前、私に会ったあと、カブ

ラル本通りで、路上駐車していたサンダーバ

ードに乗った男と話をしたはずだ。

その時にアメリカの超能力戦士、カイザー部隊の事を話したはずですよ」

 アランは答えない。

 

 「どうやら、話をしたくないようですね。結

構です。我我には色ななやり方があります。

 ところで、あなたの敵が、今日一人なくな

りましたよ」  

 

 「敵だ。誰だ」

 「日本のエージェント、桜木さんですよ。ホテル・ジャネイロの7F全部が爆破されたそ

 うです」

「きさま、桜木かち原爆の事を聞き出したのだな」

「確かに東洋商事は、ビサゴス共和国ラオメ大統領ととりひきをしました。彼らは貨物

船クリスチャン号に原爆をのせています。それはラオメ大統領の手にはいる前にビサゴス

解放戦線の手にはいるはずです。さあ言ってもらいましょう

カイザー部隊の到着時刻と場所は」

 

 「無駄だよ。リフ。我々アメリカのカイザー部隊に立ち向かえる単隊などいない。彼らは我なの最強の超心理戦士達だからな」

「それは違うでしょう」

 

 リフの自信のある発言にアランは疑いをいだいたそして一つの考えが頭を為たげた

 「まさか、そんな事が」

 

 「そう、あなたの考えている通りですよ。もちろん」

ソビエトKGB第一総局にESP部が設置されている事は知っているね。その超能力戦士を

ソビエト連邦がビサゴス共和国に派遺したとしたら。面白い事になるよね」

 

アランは奥歯に隠している青酸カプセルをか

みくだこうとした。再びリフのリボルバーの銃身がアラ

ンの口の中につっこまれる。

 

「おっと、まだ死んでもらうとこまるよ」

 リフは、ソ連邦が開発した機器サイコトレサーでCIAのアランの情報を得ようとする。この機器は人間の心の動き、過去経験を読みとる事ができる。アランはリフのKGBアジトへ連行された。

 

■ビザゴス共和国ジョバ川上、貨物船クリスチャン号

 

 イデア号よりも先行している貨物船クリスチャン号は、すでにピサゴス共和国とポートモレスビな

の境界線を越え、かなり深くピサゴス共和国内に入り込んでいた。

 「全員、気をつけろ、そろそろ戦闘地域にはいるはずだ」

 

 クリスチャン号崔船長は船内にアナウンスした。武器商人

の船をねらってビザゴス解放戦線側の武装部隊が襲撃してぐる可能性が強い。

 

 一人の船員が、青くなっている後輩に話しかけていた。

 「斎藤、だいじようぶか」

 「いえ、武者ぶるいですよ」

 「そう、かくすな。誰でも最初はそんなもの

さ。すぐなれるさ。俺も始めはこわかった。

この船は重武装もしている事だしな。

ところで弟のぐあいはどうだ」

 

 「ええ、おかげさまで、大部よくなったよう

です」

 斎藤と呼ばれた三十才中程の男は、ポート

モレスビなのサンテ桟橋に停泊中のイデア号

を双眼鏡で監視していた男だった。

 

 斎藤は秘かに、自分たちの船室へ帰った。

 ベッドには弟の泉が眠っていた。

 「泉、泉、起きろ、どうやら、’危険な状態だ

ぞ」

 斎藤の弟はようやく目をさました。二十才にもな

らなり少年だった。

 

「竜、どうしたの」

泉と呼ばれた男はジウだった。髪を短くか

りあげ男装していた。………

 「しっ、その名前は使うな.ブ誰が聞りている

かわからん。どうやら解放戦線側の奴らが近

づいてきているようだ」

 

新人類戦記 第三章 聖域 第7回

作 (198の年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

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(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)



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