デュエット(二重走)第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yama-kikaku.com/
●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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東京での暗殺テロ事件は、単なるホテルへ故障で激突したヘリコプター事故案件として処理された。
産油国のヤスラー王国王子暗殺未遂事件などと書くメディアはなかった。
もちろん犯人はわからなかった。日本国政府は王子のヤスラー王国に丁寧
な謝罪と賠償金を払おうとしていた。
三日後。
王子は。危険を感じて日本を離れた四郎と一緒にすでにアラスカに向かうヤスラー
王国所有のB747の上にいた。四郎のパスポートはヤスラー王国
のものだった。ハーリマット王子が日本の外務省に交渉したのだ。
王子の腹心の大臣。アラマドと紹介された男が四郎に言った。
「王子のくせや身ぶりを研究して下さい。毎日お願いします」
外見の問題もある。専用旅客機の一部屋で。体は染色剤で染められていた。
「王子の日常を映したビデオがあります。これを見て研究なさって
下さい。睡眠時には、学習操置がセットされていますから」
「おいおい、これじゃまるで地獄だな、う、待てよ」
四郎は新たな危機が近づいている事に気づいた。
王子があらわれていた。二人とも予見していた。
「再び。地獄が来そうだな」
国籍不明の戦闘機がヤスラー王国の専用機B747に接近してきた。アメリカ製のファントム戦闘陛だ。B747の機長と無線士は、そのフアントムと連絡をと
ろうと必死になっていた。
「こちら、ヤスラー王国のハリーマッド王子専用機です。貴賤は接
近しすきています」
相手には、ひきかえす意志はまったくないようだった。
急にファントムから機銃弾という答えがかえってきた。
加えてこミサイルが発射された。スパローミサイルはねらいたかわず、B
747に命中しようとする。
が、王子賤機体にあと』いう所で消滅した。
それから数秒後に、発射した方の飛行機が爆発をおこした。
四郎は叫んだ。
「これは一体どうしたのだ」
アラマドが言った。
「アッラーの神の力によって。ハリーマッド王子がなされたのです」
王子が疲れた顔でいった。
「そうだ。私には。念動力がわずかだが、ある」
そういって。ハリーマッド王子は横になった。
「王子」
四郎は、そぱに走りよった。
アラマド大臣は言う。
「心配なさることはありません。王子は念動力を使われると、かな
一りの体力を消耗なさるのです」
「王子のこの念動力の事は」
「わずかな者しか知りません。日本の白神家の血脈だとは聞いております。」
■専用機内の白神四郎の一日は忙しい。アラビア語も必要だといわれたtそれにイスラム教徒にもならなければならない。
四郎は、アラマドから覚えなければならない王子のデータの多さを聞いただけで、うんざりしてしまった。勉強ぱかりさせられる。
その内に、王子専用機B747はアメリカ合衆国アラスカ、アンカレッジ空港に辿り着いた。給油し。それから北へ向かう。ハローという土地らしい。
「王子。いいかげんに行先を教えてくれよ。これは君のいっていた
プロジェクトに関する事なんだね」
「そうだ。一つヒントをあげよう。私の王国でもっとも豊かな資源
は」
「そりゃ石油だろう」
「それじゃ、もっとも貧しい資源は」
「水だろう。当然」
「その水を求めてここまできた」
「何だって、水を」「氷山を買ってかえるのだ」
確かに、水は彼の王国。いやもう四郎の王国でもある、それでは
貴重なはずだ。
水は石油の10倍の値段と聞いている。
‐1それじぁ。氷山を切りとって」
「そうだ、浮遊氷界から氷山を切りとり。氷山を一つの船にしたて
て、私の王国まで、もっていくのだ」
「赤道をこえる時は」
「もちろん何%かは途中で水となるだろう。しかし、ある特殊な処
置、対太陽光線緩衝剤をほどこしてそれをできる限り少なくする。
このプロジェクトが成功すれば、あとは何回でももってこれる。最
初が肝心なのだ」
「当然、防害も予想さ
れるというわけだな」
` 「その通りだ。つまり。二人の王子がいた方が動きやすい。二倍の
時間か持てるからね」
■アラスカ州 ハロー岬から北極の浮遊氷界をめざして。ヤスラー王国のキャタ
ピラ車2台は動いていった。
「我々か切り取ろうとしている氷山はこれからかなりの距離がある。
当然、敵の防害もあるだろう」
「敵とは、具体的には誰なんだ」
「第四王子。第二王子か結びついている。それにバックには某国の
石油コンツェルンがついているらしい」
「そうだろうな。戦闘機をとばしてまで。襲ってくる連中だからな」
「そう。それゆえ、そんな天候の悪い季節をえらんだ。それにここ
はまだ、アメリカ領土内だからな。奴らも動きにくいだろう」
突然。今まで。快調に進んでいたキャタピラー車2台が動かなくな
った。
「どうしたんだ」
王子か尋ねた。
「エンジンかやられたようです」
キャタピラー車の運転手が答えた。謳べるとガソリンの中に誰かが砂糖をぶちこん
だのだ。焼ききれている。
アラスカ州の外の冬の天候かあやしくなってきた。
「無線で、我々の補給基地に救助を頼むんだ」
アラマドか、どなる。
「空電です。電波状況が悪くなっています」運転手が答えた。
「くそ、呼びつづけろ」
「ここから、その補給基地まで遠いのか」
アラスカのブリザードが近づいてきていた。
デュエット(二重走)第4回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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●1978年作品ー東西冷戦ーソビエト連邦とアメリカ
合衆国が冷たい戦いを行っていたころの話です。
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