腐敗惑星のアリス第31回■最終回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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寂寥王は挨たわっていた。疲労困狽していた。この腐敗惑星をも
とどうりにする行為によって体力をすべて使い果たしていた。
「寂寥王よ。この世界の破滅の原因すべての責任はあなたにありま
す」皆の声だ。
「眠らせてくれ、皆」
「だめです、寂寥王あなたのすべき仕事が、まだ残っております」
「仕事は何だ。何をさせようというんだ」
「あなたの滅ぼした世界を再生せねばなりません。あなた自身が、
閉鎖した数多くの世界を再び蘇らせねばなりません。次々とね」
■
フライングデッキの残骸が再生されて、そこから、一機の小型宇
宙船が飛びあがっていく。
ミラーから乗っていた船だった。
それには誰も気づかない。
何しろ、次から次へと、色々な船と生物がこの
惑星から飛び出して行くのだ。
「ツラン、今の星では失敗したな」
影の男が言った。
「しかたがありませんね。我々●ダークサイド「闇世界」●との戦いは永久に続きましょ
う。ミラーも、もう少しできる男かと思ったが」
「私が巫女の姿になってディレクションしたのですがね。勢力が足
りなかったかもしれませんね」
「まあ、よいわ、寂寥王の分子が行く先々で、我々の闘いが続く」
再生したラフラタだった生物が言った。ラフラタは自分の精神の
コピーをこの小型宇宙船のコンピュータ・ツランの記憶城中に保存
しておいたのだ。それが再生されていた。
自分がもし、打ち倒されたときの用心、保険のだめだ。
この惑星の上では「ラフラタ」としては再生しなかった。
■ しかし、トポール大佐の「独立装甲兵団」は全員、再生されている。
「いいか、今度は、銀河すべての財宝と情報をいただくぞ。
いいか。寂寥王、その名前は変わろうと。おまえを追い掛ける。
奴の分身をチャックし、追跡しろ、ミラーくん。そして皆、私についてくるのだ」
■23章■
回収子ゲノンはひとり考える。
『私は再び旅立った。
別のトリニティに会うために。他の太陽系かもしれない。
私は、多くを知らないのだ。私のたどり着いた星から、また私の
分身が旅立つのだろう。この世界を総て復活させるために。」
私は自分の本名をいまだ知らない』
●完●
1975年作品 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
アリス・イン・腐敗惑星ー寂寥王の遺産ー
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